「無農薬で野菜を育てたいけど、害虫被害が心配」「アブラムシやアオムシをどうやって防げばいいの?」——そんな悩みを抱えていませんか?
実は、農薬を使わなくても害虫被害を抑える最適な方法があります。それは、害虫を食べてくれる「益虫」を庭に呼び込むことです。
こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。
私の庭では今、テントウムシ・カマキリ・クモ・カエルが当たり前にいる空間になっています。アブラムシが発生しても、テントウムシが食べてくれる。バッタや幼虫が出ても、カマキリやクモが捕食してくれる——まさに自然の循環で害虫が抑えられている状態です。
この記事では、益虫が集まる庭づくりの考え方と、植栽計画・住処の作り方・季節ごとの対応を、6年間の実体験をもとに丁寧にお伝えします。「自然の力で害虫を抑える」——それが自然農法を取り入れた家庭菜園の核心です。



なぜ益虫を呼び込むのか|農薬に頼らない害虫対策の核心
無農薬で家庭菜園を続けるには、害虫対策の発想を根本から変える必要があります。
「害虫を全滅させる」発想を捨てる
慣行農法では、害虫を見つけたら農薬で全滅させるのが基本です。でもこの方法は、害虫だけでなく益虫まで殺してしまいます。
結果、害虫が発生したときに食べてくれる天敵がいなくなり、毎年農薬を使い続ける悪循環に陥ります。
「害虫と益虫のバランス」で考える
自然農法では、害虫を完全になくすのではなく、害虫と益虫のバランスを保つことを目指します。
害虫が少しいることで益虫の餌が確保され、益虫が増えることで害虫が抑えられる——この自然の循環が機能していれば、農薬は不要になります。
益虫がいる庭の3つのメリット
① 害虫対策が自動化される:益虫が常駐していれば、害虫が発生してもすぐに食べてくれます。人間が見回って捕殺する必要が減ります。
② 受粉が安定する:ミツバチやアブの仲間が増えると、トマト・きゅうり・かぼちゃなどの受粉が安定し、収穫量が上がります。
③ 庭が生命力にあふれる:様々な生き物がいる庭は、見ているだけで楽しく、子どもたちにとっても良い学びの場になります。
庭に呼びたい主要な益虫6種類
家庭菜園と庭で活躍してくれる益虫を、6種類ご紹介します。
① テントウムシ|アブラムシ駆除のスペシャリスト
捕食する害虫:アブラムシ・カイガラムシ・コナジラミ
1日の捕食量:成虫で100匹以上のアブラムシを食べることも
特徴:赤や黄色に黒い斑点という愛らしい姿。卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態します。幼虫の方がよく食べるため、葉に黒っぽい長細い幼虫がいたら大切に。
呼ぶための工夫:タンポポ・キンセンカ・ヨモギなど、アブラムシが付きやすい植物を意識的に残しておく。



② カマキリ|大型害虫を捕食する庭の番人
捕食する害虫:バッタ・蛾・チョウの幼虫・コオロギ・アブラムシ・ハエ
特徴:鎌のような前脚で獲物を捕らえる肉食昆虫。家庭菜園ではあらゆる害虫の天敵として活躍します。
呼ぶための工夫:草マルチ・緑肥・雑草を残すことで、カマキリの卵(卵鞘)が越冬できる環境を作る。秋に発見した卵鞘は大切に残す。
重要:カマキリの卵鞘は秋〜冬に枝や柵に産み付けられます。掃除のときに捨てないよう注意。
③ クモ|あらゆる害虫を捕える網の達人
捕食する害虫:ハエ・ガ・蚊・アブラムシ・小さな飛翔害虫
特徴:種類が非常に多く、巣を張るタイプ・徘徊するタイプなど多様。ほぼすべての種類が肉食で、家庭菜園では強力な味方です。
呼ぶための工夫:草マルチを厚めに敷き、雑草を一部15cm程度残す。これでクモの隠れ家・巣を張る場所を確保できます。
注意:クモは怖がる方も多いですが、家庭菜園で見かける種類はほぼ無害です。庭に巣があれば、それは益虫が住み着いている証拠。
④ カエル|湿った場所の害虫キラー
捕食する害虫:バッタ・コオロギ・ハエ・ナメクジ・蛾の幼虫
特徴:動くものは何でも食べる雑食性の捕食者。特にナメクジ対策に効果的。
呼ぶための工夫:庭の片隅に水を張った浅い容器(小さな池)を置く。湿った木陰や草むらを残す。
注意:カエルは無農薬・無化学肥料の環境でしか生息できません。庭にカエルが住み着いたら、それは庭の生態系が健康なサインです。
⑤ ミツバチ・マルハナバチ|受粉のスペシャリスト
主な役割:花粉媒介(受粉)。トマト・かぼちゃ・きゅうり・果樹などの実付きを安定させる
特徴:ミツバチは群れで活動。マルハナバチはふわふわの大型ハチで、低温でも活動するため早春から頼りになる。
呼ぶための工夫:蜜源となる花を年間通して咲かせる。マリーゴールド・キンセンカ・ボリジ・ラベンダー・カモミール・クローバー・バジルなど。
注意:これらのハチは攻撃的ではないため、刺激しなければ安全。ただし、巣を作られると駆除が必要になります。



⑥ ミミズ|土を耕す地下の働き者
主な役割:土壌改良・土の団粒化・分解促進
特徴:厳密には益虫ではなく土壌動物。土の中の有機物を食べて栄養豊富な糞を出し、土を耕してくれる。
呼ぶための工夫:草マルチをしっかり敷き、土を裸にしない。米ぬかを定期的にまく。耕さない(不耕起)。
ミミズが多い土は良い土:不耕起栽培を始めて2〜3年経つと、シャベルを入れた土の中に必ずミミズがいる状態になります。それが「土が育っている」サインです。
益虫を呼び込む植栽計画|花とハーブの活用
益虫を集めるには、彼らの好む植物を庭に植えることが最も効果的です。
益虫を呼ぶ花5選
① マリーゴールド(夏〜秋)
呼ぶ益虫:ミツバチ・チョウ・テントウムシ
追加効果:根からセンチュウ駆除物質を出す
植え方:畝の四隅・株間に植える。種から自家採種可能。
② キンセンカ(冬〜春)
呼ぶ益虫:早春のミツバチ・アブの仲間
追加効果:受粉昆虫が少ない時期に蜜源を提供
植え方:秋に種まき。畝の周辺に。



③ ボリジ(春〜夏)
呼ぶ益虫:ミツバチが大好きな星型の青い花
追加効果:ハーブとして食用にもなる
植え方:大きく育つので庭の端に。こぼれ種で毎年生える。
④ ラベンダー(初夏〜夏)
呼ぶ益虫:ミツバチ・マルハナバチ・チョウ
追加効果:香りで害虫忌避効果も
植え方:多年草。日当たりのよい場所に植えると毎年咲く。
⑤ クローバー(春〜夏)
呼ぶ益虫:ミツバチ・マルハナバチ
追加効果:マメ科で土壌に窒素を固定
植え方:緑肥として畝の脇にまく。クリムゾンクローバー・赤クローバーがおすすめ。



益虫を呼ぶハーブ5選
① バジル
呼ぶ益虫:ミツバチ・テントウムシ
追加効果:トマトのコンパニオンプランツとして優秀。香りで害虫忌避



② カモミール
呼ぶ益虫:ミツバチ・アブの仲間
追加効果:ハーブティーとして食用。土を肥沃にする効果も
③ ミント
呼ぶ益虫:ミツバチ・テントウムシ
追加効果:強い香りで害虫を遠ざける
注意:繁殖力が異常に強いため、鉢植えか専用エリアで管理
④ ディル・フェンネル
呼ぶ益虫:テントウムシ・寄生蜂・アブの仲間
追加効果:食用ハーブとしても活躍
⑤ パセリ
呼ぶ益虫:テントウムシ
追加効果:食用ハーブ。アゲハの幼虫がつくことがあるため注意。
益虫の住処を作る5つの工夫
植物だけでなく、益虫が住み着く環境作りも大切です。
① 草マルチを厚めに敷く
クモ・ミミズ・ダンゴムシ・甲虫類の住処になります。土を裸にしないだけで、地表面の生態系が一気に豊かになります。草マルチについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
② 雑草を一部15cm残して刈る
「すべて刈り取る」のではなく、一部を15cm程度残しておくことで、カマキリ・クモ・テントウムシの隠れ家になります。
「成長点直下を刈る」「15cm残して刈る」「払い刈り」を使い分けるのが、益虫を守りながら雑草を管理するコツです。庭の雑草の見分け方はこちらをご覧ください。
③ 畝の周りに緑肥を生やす
えん麦・クリムゾンクローバー・赤クローバーなどの緑肥は、それ自体が益虫の住処になります。特に冬場、雑草が少なくなる時期に緑肥があるかないかで、益虫の越冬可否が大きく変わります。
④ 庭の片隅に「自然エリア」を作る
庭の一部(できれば日陰のある場所)を、あえて手入れしないエリアにします。落ち葉・枯れ枝・石を積んでおくと、カエル・トカゲ・ハチの仲間の住処になります。
⑤ 浅い水場を作る(ビオトープ)
直径20cm程度の浅い容器に水を張り、石を入れて足場を作ります。これだけで、ミツバチが水を飲みに来たり、カエルが住み着いたりします。
水は1週間に1回交換するか、メダカを入れる等して、ボウフラ対策をしましょう。
季節ごとの益虫管理カレンダー
季節によって益虫の動きが変わります。それに合わせた管理がおすすめです。
春(3〜5月)|益虫を起こす季節
冬を越した益虫が活動を開始します。秋に作られたカマキリの卵鞘から幼虫が孵化するのもこの時期です。
- 秋に見つけたカマキリの卵鞘の場所を確認
- 早春に咲く花(キンセンカ・ホトケノザ)を残しておく
- アブラムシが発生してもすぐに対処せず、テントウムシが来るのを待つ
夏(6〜8月)|益虫が最も活躍する季節
カマキリ・クモが大型化し、害虫を活発に捕食します。ミツバチも盛んに活動します。
- 草マルチを厚めに保つ(益虫の住処)
- バジル・マリーゴールドの花を咲かせる
- カマキリやクモを見かけたら、絶対に駆除しない
秋(9〜11月)|益虫を越冬させる準備
カマキリが卵鞘を作り、テントウムシは越冬場所を探し始めます。
- 緑肥(えん麦・クリムゾンクローバー)を植える
- 雑草を完全に刈り取らず、一部を残しておく
- 落ち葉・枯れ枝を積み上げる場所を作る
冬(12〜2月)|益虫を守る季節
成虫の益虫はほぼ活動停止しますが、卵や蛹で越冬しています。掃除のしすぎに注意。
- カマキリの卵鞘を見つけたら捨てない
- 完璧な掃除をしない(落ち葉・枯れ草を少し残す)
- 緑肥を維持して益虫の餌・住処を確保
益虫を増やすために避けたい3つのこと
逆に、益虫を減らしてしまう行動もあります。これらは避けましょう。
① 農薬を使う
化学農薬は害虫だけでなく益虫も殺します。一度使うと生態系のバランスが崩れ、回復に1〜2年かかります。
無農薬を続けることが、益虫を増やす一番の近道です。
② 庭をきれいに掃除しすぎる
落ち葉や枯れ枝を完全に取り除いてしまうと、益虫の越冬場所がなくなります。「少し雑然とした庭」が益虫にとっては理想です。
③ 雑草を全部抜く
雑草を全部抜くと、益虫の隠れ家と餌(小さな虫)がなくなります。一部の雑草を残すことで、益虫が住み着く環境ができます。
害虫が出たときの対応|益虫を待つ姿勢
「害虫を発見したらすぐに対処したい」——その気持ちはよく分かります。でも、自然農法では「益虫が来るのを少し待つ」姿勢が大切です。
アブラムシが発生したら
慣行農法ではすぐに薬剤散布します。でも自然農では、まず2〜3日様子を見ます。
なぜなら、アブラムシが発生するとテントウムシが寄ってきて卵を産むからです。テントウムシの幼虫は1日に何十匹ものアブラムシを食べます。
ただし、苗が小さく被害が深刻な場合は、デンプンスプレー(片栗粉を水に溶かした液)で物理的に対処するのもOKです。
アオムシが発生したら
キャベツや白菜の葉を食害するアオムシは、コンパニオンプランツとしてレタス・シュンギクを近くに植えることで予防できます。コンパニオンプランツの組み合わせはこちらで詳しく紹介しています。



すでに発生してしまった場合は、手で取り除くのが基本。ニワトリを飼っている家では餌として活用する方も。
ナメクジが発生したら
カエルが住み着いていれば、ナメクジは自然に減ります。カエルがいない場合は、湿った場所を減らす(畝の近くに物を置かない)のが基本対策です。
ビールトラップ(浅い容器にビールを入れる)も効果的です。
私の庭の益虫|6年間の変化
参考までに、私の庭で観察できた益虫の変化をお伝えします。
1年目:益虫はほぼゼロ。アブラムシが発生しても天敵がおらず、デンプンスプレーで対処。
2〜3年目:クモが目立つようになる。テントウムシも時々見かけるように。アブラムシ被害が減り始める。
4〜5年目:カマキリが定着。ミツバチも頻繁に来るように。アブラムシは発生してもすぐに食べられるため、ほぼ被害なし。
6年目(現在):カエルが住み着く。テントウムシ・カマキリ・クモは年中見かける状態に。害虫対策はほぼ自動化されています。
土が育つように、益虫の生態系も時間をかけて育ちます。続けることが何よりも大切です。
さいごに
「無農薬で害虫対策は難しい」——そう思われがちですが、益虫を呼び込めるかどうかで結果が大きく変わります。
植物の多様性を保ち、雑草を一部残し、草マルチを厚く敷き、緑肥を活用し、農薬を使わない——これらを続けるだけで、益虫が自然に集まり、庭の生態系ができあがっていきます。
最初は「害虫だらけ、益虫はゼロ」という状態かもしれません。でも続けるうちに、必ずバランスが取れていきます。
カマキリが幼虫から成虫に育っていく姿、テントウムシの幼虫がアブラムシを食べる瞬間、ミツバチが花粉を運ぶ姿——そんな小さな観察が、家庭菜園を本当に楽しいものにしてくれます。
「となりのトトロのような庭」とは、人間だけのための庭ではなく、生き物たちと共有する空間です。益虫が当たり前にいる庭は、生命力にあふれ、家族にも幸せをもたらしてくれます。
失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。
この記事が、みなさんの庭づくりのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農法の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。





