【家庭菜園】畝立ては最初の一度きり|不耕起で6年作り直していない畝の作り方と“設計”(高さ・幅・向き)

「畝立ては最初の一度きりでいい」——そう聞いたら、どう思いますか?
毎年、春になると土を耕して畝を立て直す。そんな手間は、不耕起栽培では必要ありません。
こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。
わが家の畝は、6年間で一度も作り直していません。土を盛り直したこともありません。耕さないことで、土の中の微生物や菌が生態系を守り、フカフカの土を維持してくれるからです。
ただし、最初の畝立てだけは丁寧にやる必要があります。そして「丁寧に」と同じくらい大事なのが、畝の設計——高さ・幅・向き・形を、最初にどう決めるかです。じつは私、ここを知識のないまま適当に決めてしまい、いまも強く後悔している一人です。
この記事では、わが家の畝の実寸(長さ約10m・幅90〜100cm・高さ約20cm)を包み隠さずお見せしながら、〈なぜ畝立ては一度きりでいいのか/畝をどう設計するか/最初の一度をどう作るか/6年でどうなったか〉を、6年の実体験でお話しします。



なぜ不耕起栽培では畝立てが「最初の一度きり」でいいのか
一般的な栽培方法では、毎年春に土を耕して畝を立て直します。しかし不耕起栽培では、畝立ては最初の一度きりです。
なぜなら、土を耕さないことで土の中の微生物や菌の生態系が守られ、その生き物たちが土の粒を団粒構造にまとめて、フカフカの状態を維持し続けてくれるからです。一度でも耕してしまうと、長い時間をかけて築かれた生態系がリセットされてしまうとされています。
わが家でも、この6年で畝が崩れたことは今のところありません。畝の上にしっかり草マルチを敷き、雑草もそれなりに生えているので、雨や風で流れずにかたちを保ってくれています。
その仕組み(団粒構造・草マルチ・根の働き)は、専門の記事でくわしく解説しています。ここでは「畝の設計」に集中するため、深入りはしません。






畝の設計|高さ・幅・向き・通路【この記事の主役】
畝立ては一度きり。だからこそ、最初の「設計」で6年がまるごと決まります。ここがこの記事のいちばんの本題です。まずは、わが家の畝の実寸をすべてお見せします。
わが家の畝の実寸
- 本数:1本
- 長さ:約10m
- 幅:90〜100cm
- 高さ:約20cm(少し高め)
- 通路:畝が1本なので「通路」はありません。代わりに、畝の脇にもみ殻を幅40〜50cmで敷いて、土を踏み固めないようにしています。



畝の寸法早見表|一般的な目安と、わが家の実数
| 項目 | 一般的な目安 | わが家(実数) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 畝幅 | 60〜90cm | 90〜100cm(広め) | 土が多くて広く取れた。でも広すぎて後悔(後述) |
| 畝高 | 砂質は低め/粘土質は20〜30cm | 約20cm | 粘土質ぎみで水はけを確保。ここは後悔なし |
| 長さ | 好みで | 約10m | 長い畝1本は回り込みが大変だった(後述) |
| 向き | 日当たり優先 | 東西 | 庭で一番日当たり・風通しのいい端に |
※畝高の目安「砂質は低め/粘土質は20〜30cm」は、当サイトの数値基準(粘土質は高めにして排水を確保)に沿っています。
高さの決め方|水はけで決める
わが家の畝の高さは約20cmと、少し高めです。これは、知人からもらった土に粘土質なところがあり、水はけが悪いと感じたからです。あわせて、もらった土の量がかなり多かったので、自然とこのくらいの高さになりました。
高さについては後悔はありません。水はけが良すぎる・悪すぎると感じたこともありませんでした。一般に、水はけの悪い粘土質の土は20〜30cmの高畝、水はけのよい砂質の土は低めでよいとされています。
幅の決め方|「手が届く範囲」で決めるのがコツ
わが家の畝幅は90〜100cm。一般的な60〜90cmより広めです。理由は、もらった土が多くて幅を広く取れたこと、そして幅を広く取れば、キャベツや白菜を1列ではなく2列、余裕をもって植えられて、植えられる量が増えると考えたからです。
ただ、これは知識のない段階で適当に決めたもので、いま思えば失敗でした(くわしくは後の章で正直にお話しします)。先に結論だけお伝えすると、畝幅は「両側から手を伸ばして、奥の野菜まで届く範囲」で決めるのがコツです。
向き・配置の決め方|日当たりと風通し、そして隣の家
わが家の畝は、長辺が東西方向に伸びています。場所は、庭で一番日当たり・風通しのよいところを選びました。当初は畝をもっと増やすつもりだったので、庭の一番端に作っています。
ひとつ、同じような庭の方に役立ちそうな話があります。わが家は南側に隣の家が建っているため、もし庭の南側に畝を作ってしまうと、夏場はともかく、春・秋・冬は西日しか入らなくなってしまうのです。だからこそ、北寄りの端に畝を置いたのは、わが家では正解だったと感じています(この畝でしか試していないので断定はできませんが、日当たり・風通しのよい場所を選んだことは間違いなかったと思います)。
一般に、畝の向きは南北にすると日が均等に当たりやすいとされますが、日当たり・風通し・周囲の建物との関係で最適は変わります。わが家は東西でも、まず日当たりのよい場所を優先しました。
通路の代わりの「もみ殻帯」
前述のとおり、わが家は畝が1本なので通路はありません。代わりに、畝の脇にもみ殻を幅40〜50cm敷いて、雨でぬかるんだり乾いて固まったりするのを防いでいます。



最初の一度だけ丁寧に|畝立て5ステップ
ここからは、雑草が生い茂った場所から畝を立てる場合の基本の流れを、5ステップで解説します。各ステップに、わが家(真砂土スタート)で実際にどうだったかも、正直に添えます。
まず、畝にする場所の雑草を、草刈り機で地際で刈ります。成長点ごと除去できるので、刈った草が再生しにくくなります。少し土を削るくらいの感覚がコツです。広い面積なら草刈り機、小さな面積ならのこぎり鎌でも対応できます。刈った草は、後で草マルチに使うので取っておきましょう。
〔わが家の場合〕私が始めた真砂土の庭には、ほとんど雑草が生えていませんでした。なので、この草刈りの工程は不要でした。



草刈りの後、土を盛る前にひと手間。残った雑草の根を鎌やスコップでザクザク切り、スコップを差し込んで土を少し浮かせます。これで土に酸素が入りやすくなり、水はけが改善され、野菜が根を伸ばしやすくなります。
〔わが家の場合〕雑草がなかったので、雑草の根切りはしていません。ただ、ガチガチの真砂土の上にそのまま土を載せると、定植した野菜の根が真砂土に達したときに深く張れないのではと考え、真砂土を柔らかくする目的で、クワとスコップ(のちに耕運機)で耕しました。なお、雑草が生い茂った場所から始めるなら、この根切り・テコ入れは確実にやったほうが、その後の土が育つペースが違ってくるとされています。
ここで畝の「設計」を決めます。ひもや目印で輪郭を作り、通路側の土を畝側に積み上げます。畝幅・高さ・向き・形の決め方は、前の章(畝の設計)を参照してください。形は長方形にこだわらず、丸い形・正方形など、庭の雰囲気に合わせて自由に決めて構いません。
土が痩せている場合は、このときに腐葉土などの有機物を活用するとスタートがスムーズになります。畝の高さは、砂質なら15〜20cm、粘土質なら20〜30cmの高畝が目安です。
畝のかたちに土を盛っただけだと、フカフカすぎて雨や風で崩れやすくなります。そこで、畝の表面を手や足の裏で押さえ、適度な固さに整えます。カチカチにするのではなく、「表面は適度にしっかり、中はしっとり」を目指します。布巾をしっかり絞ると乾きにくくなるのと同じで、土も鎮圧すると保水性が高まるとされています。
〔わが家の場合〕私は当時この知識がなく、クワの裏でポンポンと叩く程度しか鎮圧していませんでした。「しっかり鎮圧しないと雨で流れてしまう」ことを、後から知りました。今ならここは、もっとていねいにやります。
最後に、刈った草を畝の上に敷きます。土にすき込まず、「畝の上に敷く」のがポイントです(すき込むと分解過程でガスが出て、根に悪影響を与えることがあるとされています)。草マルチは直射日光から土を守り、乾燥を防ぎ、微生物の餌になります。さらに、その下はミミズが集まり、カエル・クモ・テントウムシなどの住処にもなります。
足りないときは、雑草が生えるたびに随時補充を。雑草が少ない時期は、緑肥を活用するのもおすすめです。これで畝立て完成です。
自宅の庭が真砂土のような砂質で「畝にできる土がない」「土がカチカチで耕せない」という場合は、土の調達や積み方そのものにコツが要ります。わが家もまさにこのタイプで、知人から分けてもらった培養土を真砂土の上に積んで畝を作りました。固い土・真砂土からのゼロスタートと、土の購入・積み方・レイズドベッドについては、専門の記事でくわしく解説しています。



草マルチの厚さや量、敷き方のコツは、実践編でくわしく解説しています。



畝を長方形にした後悔|最初の設計でいちばん伝えたいこと
正直にお話しすると、わが家の畝の最大の後悔は、作り方ではなく「設計」です。長さ約10mの長方形を1本、幅90〜100cmと広めに——これを、知識のない段階で適当に決めてしまいました。
- 長い畝を1本+幅広にすると、作業効率が悪い。畝の向こう側へ渡るのに、毎回ぐるりと遠回りになる。
- 幅90〜100cmあると、手を伸ばしても奥の野菜に届かない。真ん中あたりの手入れがしづらい。
では、本当はどうすればよかったのか。いま思うのは、次のことです。
- せめて畝の長さを3〜4mほどにして、すぐ反対側へ回り込めるようにする。
- または幅を狭くして、手を伸ばせば奥まで届く幅にする。
- 長方形にこだわらず、丸い形・正方形など、遊び心のある畝にしてもよかった。庭づくりでは、この遊び心がすごく大事だと、今は思います。
そして、いちばんの教訓はこれです。土が育ち始めると、もう畝を変えたくなくなります。わが家の畝も、土がいい状態に育ってきたので、今さら大きく作り直す気にはなれません。だからこそ、畝立てが「一度きり」だからこそ、最初にどう作るかを計画することが、すごく重要なのです。
家庭菜園と庭づくりが一体になっている方は、ぜひ野菜優先の大きさ・形だけでなく、理想の庭をイメージしながら「どこに・どんな大きさで・どんな形の畝を作るか」を計画してみてください。



6年作り直していない畝の今|経年でどうなったか
最初に立てた畝を、わが家ではこの6年、一度も作り直していません。土を盛り直したこともありません。草マルチをしっかり敷き、雑草もそれなりに生えているので、畝が崩れたことも今のところありません。
ただ、正直なところをお伝えすると、6年で畝は少しだけ低くなりました。最初は20cmをめどに作りましたが、2〜3cmほど低くなり、いまは実測で20cmを下回るくらいです。「崩れてはいないけれど、少し低くはなった」が、ありのままのところです。
一方で、畝が痩せることはまったくありません。むしろ土はどんどん育って、肥えてきています。低くなった分は、これから自家製の腐葉土を足して補っていく予定です。
ちなみに、草マルチがどうしても足りなかった年は、畝の表面に腐葉土を足したこともあります。腐葉土にはたくさんの微生物が住んでいるとされ、畝に入れると土が育つペースが早まります。最初の1〜3年目くらいまでは、腐葉土を足すのも手だと感じています。






なぜ、耕さないのに畝が崩れず痩せないのか。草マルチが雨や直射から土を守り、雑草や野菜の根、土の中の生き物が土の粒を団粒構造にまとめてくれるからだとされています。くわしい仕組みは草マルチで土が育つ仕組みをどうぞ。



さいごに
今回の記事のまとめです。不耕起栽培の畝立ては、最初の一度きり。だからこそ、最初の「設計」がいちばん大事です。
最後に、これから畝を立てる方へ、わが家が6年やってみて「これだけは」と思うことを2つお伝えします。
- 土がほぼ無い・真砂土なら、培養土を購入して畝を立てるのが近道。わが家のような真砂土で畝を立てるなら、土の購入はほぼ必須です。土の調達・改良のしかたは専門の記事へ。
- 畝を作る前に、しっかり計画を。私はもらった土を早く整えようと急いでしまい、形・場所・大きさを適当に決めて強く後悔しました。理想の庭をイメージして、ゆっくり計画してください。
調べれば調べるほど、畝の形や大きさは、思っている以上に自由だとわかります。そうすると、家庭菜園がもっと好きになるはずです。
そして、この大変な畝立てを、一般的な栽培方法では野菜を植え直すたびに繰り返すことになります。それを、自然農法では一度作った畝を使い回せる——平日働くサラリーマンにこそ、向いている方法なのかもしれません。土の調達・改良のしかたは固い土・真砂土の土壌改良、土づくりの全体像は土づくり完全ガイドをどうぞ。
失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。
この記事が、みなさんの畝づくりのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農法の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。
無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践(自然農歴6年)。関西の約100㎡・真砂土の庭で、家庭菜園と庭づくりを一体にした「となりのトトロのような庭」を目指しています。
