草マルチが足りない問題を解決する緑肥の使い方|緑肥ミックス(えん麦・クローバー)を6年使ってわかった効果と育て方

「草マルチに使う雑草が、どうしても足りない」——家庭菜園を始めたばかりの頃、わたしもまったく同じ悩みを抱えていました。近くの河川敷まで草を刈りに行き、一輪車で何度も運んだこともあります。
でも今は、その苦労がまったくありません。
こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。
その悩みを解決してくれたのが「緑肥(りょくひ)」でした。緑肥とは、植物そのものを肥料や土壌改良の素材として活用する方法です。種をまいて育てるだけで、草マルチの材料が手に入る——ただ、6年使ってみてわかったのは、緑肥は「草マルチが足りない問題の解決策」にとどまらないということです。土を耕し、土を肥やし、益虫を増やす環境をつくり、はびこる雑草の侵入まで防いでくれる。草マルチの材料になることと肩を並べるくらい、ほかの働きも素晴らしいのです。
この記事では、わたしが6年間使い続けている「緑肥ミックス(つる新種苗)」を主役に、実際に育ててわかった効果・6種類の特徴・1年の回し方・失敗しにくい理由を、正直にお伝えします。「緑肥を取り入れたいけれど、何をどう使えばいいの?」という方の、最初の1袋を選ぶヒントになれば嬉しいです。

緑肥とは何か|雑草と何が違うのか
緑肥とは、植物そのものを肥料や土壌改良の素材として育てる作物のことです。野菜のように収穫するのが目的ではなく、「土を育てる」ことが目的の植物です。種をまいて育て、刈り取った植物を草マルチにしたり、土にすき込んで分解させたりして、有機物・土壌改良材として働いてくれます。
「それって、刈った雑草を畝に敷くのと同じでは?」と思う方もいると思います。確かに、土の上で分解されて養分や団粒構造に変わっていく仕組みは、雑草の草マルチと同じです。
ただ、わたしが6年使ってみて感じる「雑草にはない緑肥の良さ」は、大きく2つあります。
1つ目は、まいた場所に確実に育つこと。雑草は「どこに・いつ・どれだけ生えるか」を選べません。でも緑肥は、欲しい場所——畝の脇や通路——にまけば、そこに育ってくれます。草マルチの材料を、自分でコントロールできるわけです。
2つ目は、雑草では得にくい性質の材料が手に入ること。特に大きいのが、イネ科の緑肥です。わが家では、緑肥を始めてから「イネ科の草マルチ」をしっかり使えるようになりました。春は意外とイネ科の雑草が少なく、やわらかい葉物の雑草はすぐ分解して減ってしまいます。その点、えん麦やライグラス類のようなイネ科の緑肥は分解がゆっくりで、長く土を覆い続けてくれる。「持ちのいい草マルチ」が手に入るのは、本当に心強いです。
なお、緑肥(カバークロップ)が地表を覆うことで、降雨や風による土の流亡を軽くし、雑草を抑える働きがあることは、農研機構などでも報告されています。古くから水田裏作のレンゲ栽培なども、日本における緑肥の一つとされています。


緑肥の8つの効果|草マルチ以上の働きをする理由
緑肥を植えることで期待できる効果を、一般に言われているものも含めて整理します。草マルチの材料という枠を超えた、幅広い働きがあります。
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| ① 有機物(草マルチ)になる | 刈り取った緑肥を畝に敷けば、そのまま草マルチに。雑草より有機物の量が多く、特にイネ科は分解がゆっくりで長持ちする |
| ② 根が土を耕す | えん麦・ライグラス類などイネ科は深く根を張り、固い土に空気と水の通り道をつくる。耕さなくても土がやわらかくなっていくとされる |
| ③ 窒素を空気中から固定する(マメ科) | クリムゾンクローバー・赤クローバーなどマメ科は、根に共生する根粒菌が空中の窒素を固定し、土を肥やすとされる |
| ④ 益虫を増やす環境になる | 茂みがカマキリ・クモ・テントウムシなどの天敵の居場所に。雑草が減る冬でも茂る緑肥は、益虫を守る助けになるとされる |
| ⑤ 微生物を増やし土を豊かにする | 畝が裸になりがちな時期も、緑肥が微生物の住処と餌を確保。土の生き物のにぎわいを支える |
| ⑥ 多様性を保ち連作障害のリスクを下げる | 多様な植物が混ざることで土壌のバランスが保たれ、連作障害のリスクが下がるとされる |
| ⑦ 風・霜・猛暑から野菜を守る | 背の高い緑肥は風よけや霜よけ、夏の日陰にもなる |
| ⑧ 景観がよくなりモチベーションが上がる | クリムゾンクローバーの深紅の花、凛々しく立つイネ科の穂——花の咲く畑は、続ける気持ちを支えてくれる |

「効果ありと断言できる」とは言いつつ、③の窒素固定や⑥の連作障害のように目に見えにくい効果は「とされています」と控えめに書いています。わが家の実感は実感として、科学的に確立した話と分けてお伝えしますね。
正直にお話しすると、わが家ではこの8つの効果すべてを「効いている」と実感しています。誇張なしで、です。そして、ここに載っていない9つ目の効果も感じています。
それが、周りからはびこってくる匍匐性(ほふくせい)の雑草の侵入を防ぐこと。わが家ではスズメノカタビラのような、地面を這って広がるタイプの雑草に手を焼くことがあります。でも、畝の脇に緑肥がしっかり茂っていると、その陣地に雑草が入り込みにくい。緑肥が「壁」のように働いてくれるのです。
ただ、これらの効果は「植えれば必ずこうなる」と保証できるものではありません。あくまで、緑肥を使ってきた6年の中で感じてきたことです。次の章で、特に実感の大きかったものを、もう少し具体的にお話しします。

わが家で実感した効果|「畝の脇にまく」と何が変わったか
わたしは緑肥を、畝そのものではなく畝の脇にまいています。だからこそ見えてくる「違い」があります。
葉の色とツヤが変わる(窒素固定の実感)
一番わかりやすいのが、野菜の育ちです。緑肥をまいた畝の野菜と、まかなかった畝の野菜を見比べると、葉の色・ツヤ・元気さが違って見えます。根粒は土の中にあって見えませんが、マメ科のクローバーが空中の窒素を固定して土を肥やしてくれているとされるので、その恩恵かなと感じています。
ここは正直に書きます。「窒素固定のおかげだ」と数字で証明できるわけではありません。でも、同じ庭の中で脇に緑肥がある畝とない畝を並べて見て、葉の濃さが違う——それがわたしの実感です。
土がどんどんやわらかくなる(根が耕す)
緑肥を続けた場所の土は、確実にやわらかくなっています。これは間違いありません。えん麦などイネ科の根が深く伸びて、固い土に隙間をつくってくれるからだと考えています。実際、農研機構の報告でも、エンバクを育てると下層の土の硬さが下がり、後から育てた野菜の根が伸びやすくなることが確認されているそうです。
ひとつ大事なこと。緑肥は抜きません。根は土の中に残します。抜いてしまっては、せっかく土を耕してくれた根の働きも、根に集まった微生物の住処も失われてしまいます。刈るだけにして、根は土へ。これが土をやわらかくするコツです。
益虫が「増える環境」になる
緑肥のある庭では、益虫が明らかに増えました。ただ、誤解のないように書くと、「緑肥の茂みに虫が何匹いた」と数えたわけではありません。緑肥のある環境そのものが、益虫を増やしている——そういうニュアンスが正確です。
さすがに真冬の極寒の中ではテントウムシもカマキリも見かけませんが、春から秋にかけては、緑肥がしっかり益虫を蓄えてくれていると感じます。無農薬・草マルチ・雑草を残す栽培と、緑肥がそろうことで、生き物がにぎわう庭になっていく。その一員が緑肥です。


おすすめは「緑肥ミックス」|イネ科・マメ科・一年草・多年草のバランス
緑肥は種類が多く、「えん麦だけ」「クローバーだけ」と単品を選ぶ方法もあります。でも、わたしが初めて使った緑肥であり、今も使い続けているのが「緑肥ミックス(つる新種苗)」です。
きっかけは、自然農法を参考にし始めた頃に読んでいた竹内孝功さんの情報でした。「どの緑肥が最適だろう」と調べる中でこのミックスを見つけ、いろんな単品を自分で組み合わせる必要がなく、使うのが簡単だったのが、選んだ一番の理由です。
このミックスの良さは、配合のバランスにあります。
- イネ科とマメ科のバランス:イネ科が「土を耕す・草マルチ材料」、マメ科が「土を肥やす」。両方の働きが、1袋で同時に手に入ります。
- 一年草と多年草のバランス:一年草がその年の草マルチを、多年草が翌年以降も継続的に働いてくれます。
- 暴れる品種を外している:繁殖力が強すぎて家庭菜園では扱いに困りやすい白クローバーやヘアリーベッチが入っていません。だから、畝の中に侵入して野菜を負かす心配がほとんどありません。

この緑肥ミックスは、Amazonや楽天では扱いがなく、専門の通販サイトでの取り扱いが中心です。「最初の1袋」を探すときの参考にしてください。

緑肥ミックスの6種類|それぞれの特徴と、わが家での育ち方
緑肥ミックスに含まれる6種類を紹介します。まず早見表で全体像をつかんでから、わが家での育ち方を添えます。
| 種類 | 科目・寿命 | 主な役割 |
|---|---|---|
| えん麦 | イネ科・一年草 | 深い根で土を耕す。センチュウの密度を抑える効果があるとされる |
| イタリアンライグラス | イネ科・一年草(越年草) | 発芽・初期生育が早く被覆が早い。寒さに強く再生力旺盛 |
| ペレニアルライグラス | イネ科・多年草 | 冬も成長し春先に活躍。分けつで群生し、踏圧にも強い |
| オーチャードグラス | イネ科・多年草 | 暑さ・寒さに強く再生力に富む。長く使える |
| クリムゾンクローバー | マメ科・一年草 | 窒素固定+深紅の花で景観◎ |
| 赤クローバー | マメ科・多年草 | 窒素固定。畝を侵食しにくく、益虫を呼ぶ |
わが家での「育ち方」——全部しっかり育ち、年ごとに主役が交代する
6年使っての実感は、「育たない品種は無い」ということです。どれもしっかり問題なく育ってくれます。
おもしろいのは、年ごとに主役が交代していくこと。1年目は一年草——えん麦・イタリアンライグラス・クリムゾンクローバー——が勢いよく育ちます。そして2年目からは、多年草——ペレニアルライグラス・オーチャードグラス・赤クローバー——の勢いが増してきます。毎年自然に入れ替わりながら、土づくりが続いていく感覚です。
えん麦(イネ科・一年草)
痩せた土でも育ち、深く根を張って土を耕してくれます。えん麦の野生種は、ニンジンやダイコンに付くキタネグサレセンチュウなどの密度を抑える「対抗植物」として使われることが知られているそうです。ただし、これは「線虫を完全に駆除する」というものではなく、密度を抑える働きがあるとされる、という理解が正確です。
イタリアンライグラス(イネ科・一年草)
発芽と初期の育ちがとても早く、地面を素早く覆ってくれます。寒さに強く、温暖なわが家では冬でも緑を保ってくれるので、雑草の少ない時期の草マルチ材料として頼りになります。再生力が旺盛で、刈っても何度も再生してくれます。
ペレニアルライグラス(イネ科・多年草)
イタリアンライグラスよりさらに寒さに強く、冬も成長を続けます。分けつ(株が枝分かれして増えること)する力が強く群生し、踏まれることにも比較的強いので、安定した草マルチの供給源になります。
オーチャードグラス(イネ科・多年草)
暑さにも寒さにも強く、再生力に富む多年草です。一度根づけば長く働いてくれるので、年を追うごとに頼もしくなります。
クリムゾンクローバー(マメ科・一年草)
なんといっても、深紅の花が美しい。庭の景観をぐっと華やかにしてくれます。マメ科なので、根粒菌の働きで土を肥やしてくれるとされます。一部はあえて刈らずに花を楽しむのもおすすめです。

赤クローバー(マメ科・多年草)
クリムゾンクローバーが「存在感」なら、赤クローバーは「控えめ」。庭の景観をやさしく支えてくれる多年草です。地を這って暴れるタイプではないので、畝を侵食する心配が少ないのも安心です。

緑肥は、同じ場所にまき続けて大丈夫なのか
ここまで6種類を紹介してきて、「クローバーってマメ科だよな」と気づいた方がいるかもしれません。野菜だとマメ科は連作を嫌う——そう聞いたことがあると、同じ場所に毎年まいて大丈夫なのかが気になってきます。わが家の実際と、一般に言われていることを分けてお伝えします。
わが家は同じ帯に6年。育ちが落ちたと感じたことはない
わが家の緑肥は、最初から畝と通路の間に帯状にまいています。6年間、この場所を一度も変えていません。
結論から書くと、育ちが落ちてきたと感じたことはありません。毎年しっかり成長して茂ってくれますし、生え方も背丈も密度も、1年目と今とで「弱ってきたな」と思ったことがないのです。連作障害らしい症状が出たこともありません。それどころか、土は年々良くなっていくばかりです。
- まく場所は畝と通路の間から変えていない
- 生え方・背丈・密度が落ちてきた感じはない
- 連作障害と思われる症状は出ていない
- 種は3袋目。1袋で1〜2年はもつ感覚
ただし、これはわが家の畝の周りで起きていることです。土質も気候も違えば結果は変わりますし、「緑肥に連作障害は起きません」と言い切れるほどの根拠を、私は持っていません。
正直に書くと、まき続けてはいません(まいたのは3〜4年)
ここは正直に書いておきます。6年間ずっとまき続けてきたわけではありません。実際に種をまいたのは3〜4年で、昨年と一昨年は、仕事が忙しくてまけませんでした。
それでも、畝の周りから緑肥が消えることはありませんでした。こぼれ種で勝手に芽を出してくるものがあり、ペレニアルライグラスやオーチャードグラス、赤クローバーといった多年草はそのまま残ってくれるからです。おもしろいことに、こぼれ種はまいている場所とは違うところから出てきたりもします。

まけなかった2年(令和6年・7年)は、正直「今年はダメだったな」と思っていました。でも畑を見たら、緑肥はちゃんといたんです。まかなかった年も役割を果たしてくれていた——これがいちばん、緑肥をありがたいと思ったところかもしれません。
だから年数の言い方としては、「まき続けたのが3〜4年」と「緑肥とつきあってきたのが6年」は別のことを指しています。まいていない年も緑肥はそこにいて働いてくれたので、私は後者の言い方でいいと思っています。今年(令和8年)の秋からは、またまいていくつもりです。
ちなみに、クリムゾンクローバーがいちばんたくさん育ってくれるのは、1年目と、しっかり種まきをした年です。まいた翌年、翌々年になると、今度は赤クローバーの存在感が出てくる——このあたりが、前の章で書いた「年ごとに主役が交代する」の中身です。まかない年が続くと一年草より多年草が残るので、そう考えると自然な入れ替わりなのだと思います。
気をつけるとしたら「緑肥のあとに何を植えるか」のほう
一般にはどう言われているのかも調べてみました。すると、緑肥そのものを同じ場所に繰り返しまくことについて、「避けたほうがいい」と注意している情報は見当たりませんでした。クリムゾンクローバーの栽培上の注意として挙げられているのは、排水の悪い場所は避ける・初期の生育がゆっくりなので雑草が多い場所では覆いきれないことがある・すき込んだあとは3週間ほどあけるといった内容とされています。連作についての注意書きは出てきません。
そのかわり、注意が向けられているのは「緑肥のあとに、その場所で何を育てるか」のほうでした。クローバーはマメ科なので、そのあとにマメ科の野菜を作ると連作になるとされています。しかも同じマメ科でも、あける年数はずいぶん違うようです。
| クローバーのあとに作る野菜 | あけたほうがよいとされる年数 |
|---|---|
| エンドウ | 5年 |
| サヤインゲン・ソラマメ | 2〜3年 |
| エダマメ・ラッカセイ | あまり問題にならないとされる |
ここで大事なのは、わが家はこの条件に当てはまっていないということです。わが家の緑肥は畝の周りにまいていて、野菜を育てているのは畝の上。しかもすき込まずに刈って敷くだけ(この記事の後半で書いているとおりです)なので、「マメ科を育てた場所でマメ科の野菜を作る」という形になっていません。同じ場所に緑肥をまき続けても平気だったのは、この使い方だからかもしれない——そう考えると、つじつまが合う気がしています。
逆に言えば、緑肥をすき込んで、その場所でそのまま野菜を作るつもりの方は、次に何を植えるかを一度考えておくと安心です。なお、野菜そのものの連作をどう避けるかは話が長くなるので、一畝で6年連作してきたやり方を別記事にまとめています。

それともうひとつ、マメ科の緑肥のそばで育てる野菜には気をつけている相手がいます。ネギやニラはマメ科と相性が悪いとされているので、わが家ではネギを畝の中央、緑肥を畝の周りにして、30cmほど離すようにしています。連作というより「隣に何がいるか」の話ですが、緑肥を畝の近くにまく以上、セットで考えておきたいところです。

緑肥ミックスの使い方|種まきから草マルチ化までの4ステップ
ここからは、実際の使い方を手順で紹介します。「まく → 育てる → 刈る → 畝に敷く」という流れは順序があるので、ステップに分けて説明します。
わが家の基本は春まきです。そこから「ちゃんと生えてこなかった部分」「勢力が弱まってきた部分」に、その都度まき足していきます。「いつまく」とカレンダーで決めるというより、草マルチが足りなくなってきたらまく、という感覚です。
そのうえで、秋まきだけは少し意識してしっかりまきます。秋にまいておくと、雑草が減って草マルチに困りがちな翌春に、緑肥が大活躍してくれるからです。「冬から春先の草マルチ不足を、秋のうちに仕込んでおく」というイメージです。
緑肥は、野菜を育てる畝のど真ん中ではなく、畝の脇・通路と畝の間・畝の上でも作業中に踏まない場所にまきます。
ここで一つ、わが家の失敗から得たコツを。発芽したての芽を踏むと、その部分だけ顕著に生えてこなくなります。だから「作業のときに自分が踏まない場所」を選んでまくのが、地味ですが大事なポイントです。
まき方はとてもシンプルです。地際で雑草をカットし、種をバラまいて(ミックスなので筋まきは不要)、土を軽くかぶせ、手や足で軽く押さえて鎮圧します。種と土をしっかり密着させることが、発芽の鍵です。発芽が揃って、育ちも揃うと、緑の帯が本当にきれいに仕上がります。
ある程度育ったら刈って、草マルチにします。15cmほど残して刈れば、また再生してきて、くり返し草マルチに使えます。刈ったものはその場で畝に敷き、根は土の中に残します。
刈るタイミングは、わが家では「草マルチが欲しくなったとき」と「茂ってきたな、見栄えを整えたいなと思ったとき」です。一般には、イネ科は穂が出る前、マメ科は花が咲く頃に刈ると、植物に蓄えられた養分が多く分解も速いとされています。ただ、わたしはそこまで厳密にステージを狙ってはいません。必要なときに刈る——それでも十分回っています。

とはいえ、踏んでしまったり、その場所の土の状態によって、背丈が揃わないこともあります。それも含めて、肩の力を抜いて。揃わなくても、ちゃんと草マルチの材料にはなります。
なお、クリムゾンクローバーは花がきれいなので、一部はあえて刈らずに残しています。意図して種を採っているわけではありませんが、勝手に種が落ちて翌年も芽を出してくれます。刈り取りに使うのこぎり鎌や、通路に敷くもみ殻の活用など、道具・資材の話は別記事にまとめています。


緑肥は「すき込まない」|不耕起での扱い方と、窒素飢餓のこと
緑肥の使い方を調べると、「刈ってから土にすき込む(混ぜ込む)」という方法がよく出てきます。でも、わが家ではすき込みはしません。刈って畝の上に敷く——草マルチとして使うだけです。不耕起栽培なので、土を掘り返さないからです。
ここで、正直に触れておきたいことがあります。緑肥を土にすき込むときには、「窒素飢餓」というリスクが知られています。イネ科のように炭素の割合が高い(C/N比が高い)植物を土に混ぜ込むと、それを分解する微生物が土の中の窒素を一時的に使ってしまい、野菜に回る窒素が足りなくなることがある、とされています。一般にC/N比が20を超えると起こりやすく、イネ科は穂が出た後にこの比率が高くなるため、すき込むなら出穂前に、とも言われています。
ただ、これは「土に混ぜ込む」場合の話です。わが家のように刈って表面に敷く(刈り敷き)場合は、土の中に直接混ぜ込むわけではないので、すき込みのときのような窒素飢餓は起きにくいとされています。不耕起×草マルチでは、緑肥は「敷くもの」であって「混ぜるもの」ではない——この違いが、扱いをぐっと気楽にしてくれます。

「すき込み前提の注意書き」は、不耕起の家庭菜園にはそのまま当てはまらないことがあります。わが家は刈って敷くだけ。むずかしく考えず、まずは敷いてみるところからで大丈夫です。
不耕起・無肥料で、固い土から土づくりを始める全体像は、次の記事にまとめています。

大きな失敗が起きにくい理由|暴れない・処理が楽・雑草化も歓迎
「緑肥って、放っておくと暴れて大変なのでは?」とよく聞かれます。でも、6年つきあってきて、大きな失敗らしい失敗はありません。これは、つる新の緑肥ミックスが「暴れない品種」を選んで配合してくれているおかげだと感じています。
- まく量は正直、適当。それでも密集しすぎて困ったことはない
- 少し離れた場所で雑草化することはあるが、繁殖力が強くないのでカット・芝刈り機で処理すれば終わり
- 畝の中まで侵入して野菜を負かすトラブルはない(這って広がる品種が入っていない)
むしろわたしは、土を育てるために、庭の景観を崩さない程度なら、雑草化した緑肥も極力残しています。雑草を「敵」ではなく「資源」と考えるのが、このブログの基本です。暴れない緑肥なら、その延長で気楽につき合えます。緑肥で「やらかした」という大きな話がないこと自体が、品種選びの大切さを物語っているのかな、と思います。気になるところだけ、電動の芝刈り機でさっと刈ってしまうこともあります(使っている1台の4年ぶんの正直な感想はマキタMLM330DZのレビューにまとめました)。


雑草だけではダメなの?|緑肥も使う理由(この記事の核)
最後に、この記事の入口の問いに戻ります。雑草を刈っても草マルチにはなります。実際わたしも、草マルチの大半は雑草でまかなってきました。それなのに、なぜわざわざ緑肥も育てるのか。理由は、大きく3つあります。
- 雑草が減る端境期(はざかいき)を埋められる。冬から春先、特に夏野菜を植える時期は、雑草の勢いが落ちて草マルチが足りなくなります。緑肥はこの時期でもしっかり茂ってくれるので、「春に草マルチがない」問題を解決してくれます。
- まいた場所に確実に育つ。雑草は読めませんが、緑肥は欲しい場所にまけばそこに育つ。草マルチの材料を、計画的にコントロールできます。
- 雑草にはない付加価値がある。マメ科の窒素固定、匍匐性雑草の侵入防止、益虫を増やす環境づくり、深い根で土を耕す働き——ただ刈って敷くだけの雑草にはない働きが、緑肥にはあります。
この付加価値は、連作障害を防ぐ「多様性」や、冬の土づくりの考え方とも地続きです。畝の脇に多様な植物がいる状態をつくることは、畑全体をにぎやかにする発想にもつながります。
ここで、はっきりお伝えしておきたいことがあります。緑肥を「草マルチの材料を補う要員」と小さくとらえてほしくない、ということです。確かに草マルチの材料になるのは大きな特徴です。でも、それと肩を並べるくらい、ほかの効果も素晴らしい。「草マルチが足りないから仕方なく」で始めたわたしが、6年経って一番強く感じているのは、まさにそこです。
そして、わが家にとって一番ありがたかった具体的な恩恵が、イネ科の草マルチが手に入るようになったことでした。春はイネ科の雑草が少なく、やわらかい雑草はすぐ分解して減ってしまう。でも、分解されにくいイネ科の緑肥なら、長く土を覆い続けてくれます。「持ちのいい草マルチ」がいつでも手元にある安心感は、何ものにも代えがたいです。

さいごに|緑肥は、自然農の庭を支えてくれる
わたしにとって緑肥とは、自然農法の栽培を静かに支えてくれるものです。ちゃんとしたものを選べば、デメリットはほとんどなく、必ずあなたの家庭菜園ライフを支えてくれる——そう自信を持っておすすめできます。緑肥を含めた自然農の全体像は、自然農・不耕起栽培の始め方にまとめています。
存在感のあるクリムゾンクローバーの深紅の花。少し控えめに、庭の景観をやさしく支えてくれる赤クローバー。凛々しく立つイネ科の緑肥。そして、そこに集まってくる生き物たち。それら全部ひっくるめて、緑肥は庭に生命力を与えてくれます。
これからも緑肥とともに、野菜と、そして心の休まる庭をつくっていきたいと思っています。
失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。
この記事が、みなさんの土づくりのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農法の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。
自然農歴6年・真砂土の庭。草マルチ・緑肥・コンパニオンプランツを軸に、農薬に頼らない畑づくりを記録しています。


コメント