こんにちは!
無肥料無農薬、不耕起栽培により、自然に寄り添い手間のかからない家庭菜園を実践、研究中のダイヤンです。
今回は、不耕起栽培での夏野菜の苗の植え付け方法をお伝えします。
土壌の中にはたくさんの微生物や菌、ミミズや虫達が住み着いています。
それぞれが野菜や植物が育つために、とても大きな役割を担ってくれています。
そんな重要な役割を担ってくれている生き物達ですが、苗の植え付けで土を掘り起こしてしまうと、その生き物たちが生きている環境を破壊してしまいます。
ですので、土を耕すという作業を極力最小限に抑えて苗を植え付ける必要があります。
また、野菜の初期成育にとって重要な苗の植え付けは、その後の野菜の生育を大きく左右します。
正しい方法で苗を導いてあげる必要があります。
苗の植え付けで大切なポイントは
土壌環境を極力そのままの状態を維持させること
コンパニオンプランツを最大限活用すること
植え付け前にしっかりと底面吸水させること
根にダメージを与えないように、支柱は先に立てること
植え付け後の鎮圧、草マルチをしっかり施し土をしっかりと保湿すること
等々です。
今回は極力手間のかからない簡単な方法で、自然と共存できる苗の植え付け方をご紹介します。
みなさんの参考になれば幸いです。
夏野菜の植え付け前に土壌環境を知る
夏野菜の植え付け前に知っておいていただきたいのが、
土壌の中にはたくさんの種類の微生物や菌、ミミズ、虫等が住み着いている
ことです。
従来の日本の農業では、苗の植え付け前には必ず土を耕し、肥料を施し、一定の期間をおいて、農薬と一緒に野菜の苗を植え付けています。
たくさんの野菜を生産しなければならない農家さんは、品質の良い野菜を大量に育てるために、大量の肥料と農薬を使用しなければなりません。
しかし、私達一般家庭が行う家庭菜園の目的はなんでしょう?
大半の方は、化学肥料や農薬が使われていない安全な野菜を作りたいからではないでしょうか。
化学肥料や農薬を使わずに元気な野菜を育てる方法で、私が一番適していると思う方法が不耕起栽培です。
不耕起栽培では、共存する生き物やそれらが作ってくれる土壌環境が野菜を育ててくれます。
菌等の微生物が、栄養を供給してくれたり、栄養分を吸収しやすくしてくれます。
また、小さな虫等の生き物達が排泄物を出したりや死骸となって有機物となり、その有機物が微生物が分解したり、ミミズが最高の肥料に変えてくれたりして、それが野菜の栄養分となるのです。
これらの自然の力と共存して育った野菜は、環境変化や病気等に非常に強くなります。
この自然が作った土壌環境を耕して破壊するということは、それらのメリットを全て放棄するということです。
苗の植え付け時は、極力植え付けた野菜が自然と共存しやすい環境を保ちながら植え付けてあげることが大切です。
土の中には、色んな種類の微生物等が住み着いてます。
土壌の表面付近にいる生き物、深い場所にいる生き物、植物の根っこに寄生している生き物等様々です。
苗の植え付けの際に、掘り起こした土を適当に埋め直してしまうと、土壌環境を破壊してしまうことになります。
そこは、これから野菜が育っていく、とても大切な場所です。
その土壌環境を極力破壊しないで苗を植え付ける方法が
掘り起こした土をできる限り、そのまま埋めてやること
です。
苗を植えるために掘り起こす土は、移植用のスコップを使用して、出来る限り形を崩さないように掘り起こします。
そして、苗を土壌に添えた後に、掘り起こした土をできる限りそのまま土にかえしてやります。
難しいようで、作業としては単純です。
深いところにあった土、浅いところにあった土を、ちゃんと同じような場所にかえしてあげるだけです。
そうすることによって、掘り起こした土の表面、浅いところ、深いところにいた小さな生き物たちへのダメージを最小限にすることができます。
夏野菜の植え付けに必須!コンパニオンプランツ
初心者にもオススメ、夏野菜の代表格である
トマト、キュウリ、ピーマン、ナス
は、この時期必ず育てたい野菜です。
ピーマンやナスは、一度植えると秋ころまで収穫することができます。
これらの野菜を不耕起栽培、無農薬で育てる上でとても重要になるのが
コンパニオンプランツを有効活用すること
です。
コンパニオンプランツとは、密植させて育てることによって、互いに良い影響をもたらす野菜の組み合わせのことです。
コンパニオンプランツの影響で主なものは
生育促進、病気予防、害虫忌避
等があります。
肥料や農薬の力を借りず、自然の力のみで野菜を育てるためには、コンパニオンプランツを活用していくことが大切で、それを利用しないのとでは、野菜の生育に大きな差がでます。
夏野菜の代表格である上記4種類の野菜にとって、定番のコンパニオンプランツは
マメ科の野菜 or ネギ、ニラ等のヒガンバナ科の野菜
です。
この中でも私がオススメしているのは、
ネギ
です。
ネギの主な効果は、病気予防です。
ネギの根に共生する微生物が悪い菌を死滅させる抗生物質を出して、土壌を清潔に保ってくれる効果があります。
その効果で夏野菜、特にナス科の植物の連作障害を防いでくれる効果等も期待できます。
ネギはその効果だけでなく、初心者にも簡単に栽培することができるというメリットがあり、プランターでも育てることが可能です。
更にネギを株分けすることによって、上手くいけば半永久的に増殖させ続けることができます。
食卓でも非常に使いやすい野菜であることから、非常にオススメです。
ネギを育てておけば、食卓でも野菜作りでも大活躍してくれます。
このネギを使って、夏野菜の苗と一緒に植え付けます。
また、トマトに関してはネギ以外に、バジルの種まきも行うこともオススメします。
トマトの原産地はアンデス高原とされており、ガラパゴス諸島の雨の降らない乾燥地帯に自生している野菜です。
雨が降らない地域で生き延びるために、茎等に生えている毛で朝露等の空気中の水分を吸収しています。
なので、トマトは水分不足でも生育していけるのです。
逆に水分が多すぎると、トマトが割れてしまったり、味が落ちたりしてしまいます。
なので、トマトは基本的に水分が不足している方がよいのです。
日本のような雨の多い地域では水分過多になりがちです。
そこで、水分を多く必要とするバジルが、トマトにとって不要な水分を吸収してくれるので、相性が良いのです。
また、バジルの特有の臭いが、アブラムシやテントウムシダマシを寄せつけないという特性もあります。
よって、トマトはバジルと相性がとても良く、ネギとも一緒に植え付けることができます。
次にマメ科の植物です。
マメ科の植物は、根粒菌や菌根菌という有用な菌が根に共生します。
根粒菌が吸気中の窒素を土壌に蓄え、菌根菌は野菜にとって必要なリン酸分を吸収しやすくしてくれます。
その効果が、夏野菜にも良い効果を与えてくれます。
マメ科の野菜を育てる予定がなくても、クリムゾンクローバーや赤クローバーというマメ科の緑肥を活用することもオススメです。
ただ、マメ科植物を密植させるときに注意しなければならないのが
ネギとマメ科の野菜を一緒に植え付けるのは厳禁
であることです。
ネギに共生する微生物が放つ抗生物質が、マメ科の野菜に共生する有用菌も殺菌してしまうのです。
ですので、「ネギ類とマメ科の植物は相性が悪い」という点は必ず覚えていただきたいと思います。
コンパニオンプランツについて詳しく解説した記事がありますので、興味がある方はチェックしてみてください。
夏野菜の植え付け手順
それでは夏野菜の植え付け手順についてご紹介します。
植え付けに必要なのは
移植ごて
支柱(キュウリ・ゴーヤにはネットや麻ヒモ)
日光にあててカルキを抜いた水(あればストチュー水)
腐葉土
草マルチ用の雑草
です。
手順としては
①苗を底面吸水させる
②支柱を立てる
③植え付けの穴を作る
④植え付け
⑤草マルチ
⑥ストチュー水の散布
となります。
順に説明していきます。
苗を底面吸水させる
植え付け前に苗を1時間程底面吸水させます。
底面吸水させる理由は、
苗に水分は下にあると意識させる
必要があるからです。
下に水があると意識させることによって、野菜は下に根を伸ばそうとします。
根を深くしっかり張り巡らすことができれば、夏場にある程度の干ばつがきても、その環境を耐え抜くことができます。
これを行わず植え付けをした後に、土の表面に水をかけていくと、野菜は表面の水ばかりを頼って、深く根を張らずに育ってしまいます。
人が水を与えなければ、生きていけない貧弱な野菜に育ってしまうのです。
ですので、植え付けの初期段階で、下に水があると意識させることがとても重要なのです。
ストシュー水があれば、それを底面吸水させてやると、更に干ばつに強い野菜に育ちます。
ストチュー水は
酢と焼酎と木酢液を1:1:1で混ぜ合わせた原液を300倍~1000倍に希釈したもの
です。
ストチュー水の作り方や使い方を詳しく解説している記事がありますので、参考にしてみてください。
支柱を立てる
野菜を植え付ける前に支柱を立てます。
基本的にトマト、ナス、ピーマン等の夏野菜には支柱が必須です。
その支柱を、
植え付け前に立てること
をオススメします。
後から立てると、支柱が野菜の根を痛めてしまい、弱らせてしまう可能性があります。
ですので、植え付ける前に支柱を立てましょう。
夏野菜の支柱の立て方は、圃場の環境にもよりますが、基本は
ナス、ピーマン 1本支柱
トマト 3、4本ティピー型支柱
キュウリやゴーヤ 3、4本ティピー型支柱(ネットや麻ヒモ)
で行います。
立てる支柱を、苗の成長に伴って、段階的に長い支柱に立て替える方がいますが、前述同様に、支柱の立て替えは根を痛めてしまう可能性がありますし、何より手間がかかってしまいます。
なので、初めから150㎝(1本支柱)若しくは210㎝(ティピー型支柱)の支柱を立ててしまいましょう。
そして、一番厳禁なのは、苗が小さいときに支柱をしないことです。
特に風に弱いナス等は、苗の根の活着が遅れて、苗が弱ってしまいます。
小さいときからしっかり支柱を立てて置き、成長に合わせて麻ひもで支柱に誘引していきましょう。
植え付け穴を作る
植え付け穴は移植ごてで、掘っていきます。
やみくもに穴を掘るのではなく、まず移植ごてを土に円を描くように何度か刺して、穴の形を作ります。
その後、極力土を崩さないように掘り返します。
少し崩れてしまうこともありますが、極力崩さないようにして、浅いところにあった土なのか、深いところにあった土なのかをわかるようにしておきます。
余談ですが、写真にある土は草マルチを始めて4年目になります。
元々粘土質で、雨が降るとすぐにカッチカチになってしまっていた土でしたが、草マルチ等の効果が出て、しっかりと団粒化した良質な土になってきています。
掘り上げた土は一旦そばに置いておきましょう。
しばらく雨が降っていない場合は、穴に水(あればストチュウ水)を注いで土に水を吸水させてあげましょう。
植え付け
次に植え付けです。
下は完成図になります。
あれば腐葉土を穴に投入します。
次にコンパニオンプランツとして今回はネギを添えてやります。
使うネギは、畝やプランターで育てて置いたネギを丁寧に抜きとります。
これを株分けします。
根がなければ活着しにくくなるので、全ての株にしっかりと根が残るように株分けしましょう。
株分けした後は、ネギのくらつきを作っていきます。
穴にネギを2本ほど添えて、その上から苗を穴に入れていきます。
ここで注意しなければならないのが、苗の根をしっかりと穴の側面の土に密着させてやることです。
苗がしっかりと土に活着できるように、根がしっかりと張っている面を、掘った穴の側面の土にしっかりと密着させます。
密着させた後は、掘った土を穴に返していきます。
極力、穴の深い場所にあった土は深いところへ、表面に近い土は表面に戻すように意識することが大切です。
土には人には見えない微生物が住み着いており、それぞれが適したところで住み着いています。
そのバランスを極力崩さないように土を戻してあげましょう。
土を戻した後は、しっかりと鎮圧しましょう。
しっかりと鎮圧しないと、土が乾燥しやすくなってしまい、苗が枯れてしまう原因になってしまいます。
草マルチ
苗を植え付けた後は、しっかりと草マルチをして土を保湿してあげましょう。
正直なところ、直接土に日光が当たらなければ、地温が上がりにくく、夏野菜の成長が遅れてしまうこともあります。
ただ、土を保湿させて苗をしっかりと活着させることであったり、良質な土を保つことを優先させるほうがメリットがあります。
土が見えなくなるまでしっかりと草マルチを施しましょう。
ストチュー水を散布する
最後にストチュー水を散布させてやると、苗が乾燥に強くなります。
苗の植え付け直後は、根から水分を吸収する力が弱いので、葉からしっかりと吸水できる状態を作ってあげましょう。
植え付け直後に散布した後は、1、2週間に一度くらいの頻度で、定期的にストチュー水を散布してあげるようにするとすくすくと育ってくれるはずです。
まとめ
今回は夏野菜の植え付け方法についてご紹介しました。
苗の植え付けは、生育初期のとても大切な作業です。
作業ポイントをまとめると、
❍コンパニオンプランツを最大限活用すること
❍しっかり底面吸水させて、下に根を伸ばす意識づけをさせること
❍根にダメージを与えないために、先に支柱を立てること
❍掘り起こしは最小限にして、深いところの土、表面に近い土をそれぞれ元の場所に戻すこと
❍植え付け後の鎮圧と草マルチをしっかり施し土を乾燥させないこと
を意識することです。
植え付けさえしっかり行えば、後の野菜のお世話がとっても楽になります。
ぜひ試してみてください。
ダイコンの花と、キンセンカ、タンポポのコラボレーションです。
大根はこぼれ種で、今年の秋に芽を出させる予定です。
キンセンカはセンチュウ対策と、ハチや蝶を呼び寄せて、レモンやミカン等の受粉を手助けしてくれます。
何より花があると、畑が華やかになりますよね。
また、今後もみなさんに有益な情報をお届けできるように努めてまいりますので、コメント、お気に入り登録、リンク等々よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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