ドライイースト・納豆・ヨーグルトで作る土壌改良剤|えひめAIを6年作り続けた発酵管理と使い方

こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。
「ドライイーストって、パンを膨らませるだけじゃなくて、土にも効くの?」——そんな疑問を持ったことはありませんか? あるいは「納豆やヨーグルトで土壌改良剤が作れるって聞いたけど、本当にうまく作れるのか不安」という方もいるかもしれません。
わが家では、この6年間、台所にある材料だけで微生物活性剤(えひめAI)を作り続けてきました。春から夏にかけて年に4〜5回、500mlのペットボトルで仕込むのが習慣になっています。
作り方を紹介する記事は世の中にたくさんありますが、この記事でお伝えしたいのは「6年作り続けてわかったこと」——発酵の見分け方、失敗のサイン、そして「どこに確かな手ごたえがあり、どこは正直わからないのか」という正直な仕分けです。
作ってみたいけれど不安な方にも、すでに作っている方にも役立つように、実体験を主役にまとめました。

材料はぜんぶスーパーで揃います。難しい道具もいりません。お味噌づくりみたいな感覚で気軽に作れますよ。
微生物活性剤(えひめAI)とは?|台所の材料で作る「土の生き物への応援団」
微生物活性剤は、ヨーグルト・ドライイースト・納豆・砂糖という、どこの家にもある材料で作れる自家製の土壌改良剤です。もとは「えひめAI」と呼ばれる資材で、愛媛県産業技術研究所(旧・愛媛県工業技術センター)が開発した環境浄化のための微生物資材とされています。宇和海のアコヤ貝が弱る問題や、工場排水・生活排水をきれいにする目的で研究が始まったものだそうです。
ここで一つ、よくある誤解を正しておきます。「えひめAI」は特定の菌の名前ではなく、乳酸菌・酵母菌・納豆菌という3種類の微生物を発酵させた「液体資材」の名前です。そして、わたしたちが家庭で作るのは、正確には「えひめAI-2」にあたります。もともとの産業用(AI-1)を、家庭でも簡単に作れるように材料を置き換えたもの——納豆菌の代わりに納豆そのものを、乳酸菌の代わりにヨーグルトを、酵母の代わりにパン用のドライイーストを使う、というわけです。開発者が特許を取らずに広く公開してくれたおかげで、誰でも自由に作れるとされています。
わたしはこれを、野菜に直接栄養を効かせる「肥料」ではなく、土の中の生き物を元気にする「応援団」だと考えています。この線引きが、「無肥料なのに資材を使う」理由のいちばん大事なところです。自然農全体の考え方は、こちらの記事でまとめています。



ドライイーストが土に効くのはなぜ?|3つの菌の役割分担
「パンを膨らませるドライイーストが、どうして土壌改良に?」という疑問に、ここで正面から答えます。ポイントは、ドライイースト(酵母菌)単独の力ではなく、乳酸菌・納豆菌との「3菌のチームワーク」にあります。それぞれの役割は、次のように整理されています。



| 菌の種類 | 家庭での材料 | おもな働き(とされていること) |
|---|---|---|
| 納豆菌 | 納豆 | タンパク質・脂質・炭水化物やセルロースなど、かたい有機物までを分解する |
| 乳酸菌 | ヨーグルト | 有機酸を作ってpHを下げ、有害な菌を抑える。土のミネラル分を溶かして吸われやすくするとも |
| 酵母菌 | ドライイースト | 分解された有機物をアミノ酸やビタミンなどに再合成する。土着微生物の栄養にもなる |
このチームを土や有機物にかけると、もともと土にいる微生物(土着微生物)が活性化されるとされています。つまりドライイーストが土に効く理由は、「酵母が直接なにかをする」というより、土全体の微生物のはたらきを底上げする発酵液の一員として働くから、と考えると腑に落ちます。
ただし、ここは正直に添えておきます。これらは各機関や資料で「〜とされている」はたらきであって、わが家の畑で「この菌のおかげでこうなった」と単体で確かめられたものではありません。効果の実感については、後の章で正直にお話しします。
なお、家庭で作るえひめAI-2は農薬として登録された資材ではありません。「病害虫を防除する薬」ではなく、あくまで土や生き物を応援する資材、という位置づけで使っています。
微生物活性剤の作り方|500mlペットボトルで仕込む手順
それでは、わが家の作り方を紹介します。難しい道具は要りません。500mlの空きペットボトル1本で仕込めます。材料と分量は次のとおり——6年間、この基本レシピのままです。
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| ヨーグルト | 25g | 乳酸菌 |
| ドライイースト | 2g | 酵母菌 |
| 納豆 | 2〜3粒 | 納豆菌 |
| 砂糖 | 25g | 菌の餌 |
| 水道水 | 450ml | — |
| ペットボトル | 500ml | 発酵で膨張するため耐圧タイプ(炭酸用) |
ドライイーストはスーパーのパン材料コーナーで手に入ります。
他の材料はほぼ自宅にあるものです。
空のペットボトルに、ヨーグルト・納豆(数粒)・砂糖・ドライイーストを入れます。材料選びに神経質になる必要はありません。ヨーグルトはプレーンでも加糖でもかまいませんし、量も「だいたい」で大丈夫。わが家では、どれも少しでも安いものを選ぶくらいの気楽さです。
水道水をそのまま注ぎ、よく振って混ぜ合わせます。わが家では、活性剤の仕込み水は特別なカルキ抜きをしていません(葉面散布に使うストチュー水は量が多いので貯水タンクに汲み置きしますが、活性剤は少量なので水道水をそのまま使っています)。
直射日光の当たる場所に置きます。春先や秋なら、これだけで発酵に必要な温度(30℃前後とされます)がじゅうぶん確保できます。専用の保温器具は使っていません。
発酵が進むと、ペットボトルの中でガスが発生します。フタを締めっぱなしにすると、ボトルがパンパンに膨れ上がって危険です。1日に何度か、フタを緩めてガスを抜いてください。膨れてくるのは、菌が元気に働いている合図でもあります。完成までの目安は、確保できる温度にもよりますが、おおむね7〜10日。気温が高いほど早く仕上がります。
成功?失敗?|発酵の見分け方は「泡」と「甘い匂い」
はじめて作る方がいちばん不安なのが、「これ、ちゃんとできてるの?」というところだと思います。わが家の見分け方は、とてもシンプルです。



- 泡が立っている——見た目は大きくは変わりませんが、酵母がぷくぷくと発酵している様子がわかります
- ヨーグルトを甘くしたような匂いがする——これが順調な発酵の匂いです
逆に、泡が立たず、甘い匂いもしなければ、失敗の可能性が高いと判断しています。
正直にお伝えすると、6年作ってきて、腐らせてしまったような大きな失敗はほとんどありません。ただ、発酵が進まないことはあります。その原因は、たいてい気温の低さ。冬に無理に仕込もうとすると、菌がうまく動いてくれないのです。だからわが家では、発酵しやすい春から夏を仕込みのメインシーズンにしています。
「失敗=腐る」ではなく「失敗=動かない」。そう知っておくと、気楽に構えられますよ。
微生物活性剤の使い方|わが家での出番
できあがった活性剤を、わが家がどう使っているか。正直な手ごたえの差も含めて紹介します。
草マルチ・残渣の分解を助ける——手ごたえがはっきりある
わが家がいちばん効果を実感しているのが、畑に敷いた草マルチや、片づけた残渣(収穫を終えた野菜の茎や葉)の分解を助ける使い方です。活性剤をかけておくと、分解が明らかに早くなると感じます。しかも、ただ早いだけでなく、腐敗の方に傾くことが少なくなり、きちんと「分解」に向かう感覚があります。
畑の残渣処理では、米ぬかと一緒に使うのがわが家の定番です。米ぬかが微生物のごちそうになり、活性剤が分解の担い手を補う。この組み合わせで、かたい茎や葉が土に還っていくのが早まります。残渣処理のやり方は、こちらの記事にまとめています。



葉面散布(ストチュー水と組み合わせて)
薄めて葉に散布する使い方もあります。希釈は500〜1000倍が目安。わが家では、計量スプーン代わりにペットボトルのキャップ1杯(約7ml)を使い、7Lの水に対して約1000倍の見当で薄めています。散布は週に1回、土日のどちらか。時間帯は早朝が基本で、起きられなければ夕方にします(日中の高温時は避けます)。
わが家では、活性剤を単体で使うより、ストチュー水と組み合わせることが多いです。水7Lに「ストチュー原液キャップ2杯+活性液1杯」。2つの役割の違いをまとめると、こうなります。
| ストチュー水 | 微生物活性剤 | |
|---|---|---|
| 何をするもの? | 葉にまく「雨の代用」 | 微生物を補う「応援団」 |
| おもな役割 | ミネラル補給・葉面の良い微生物を活性化 | 有機物の分解を助ける・有用な菌を補う |
| 位置づけ | 害虫を殺す・寄せつけない資材ではない | 肥料ではなく、土の生き物への応援 |
| わが家の使い方 | 週1回の葉面散布(早朝) | 草マルチ・残渣の分解/ストチュー水に混ぜる |
2つを一緒に撒くと、それぞれの持ち味が重なります。ストチュー水の配合や希釈、「雨の代用」という考え方は、専用記事で詳しくまとめています。



まだ試していない・使っていない使い方
「コンポスト」「ぼかし肥料づくり」「家の掃除(トイレなど)」にも使えるとされていますが、わが家ではコンポストは使っておらず、ぼかし肥料もまだ作ったことがなく、掃除にも使っていません。使えないわけではないようですが、わたし自身の手ごたえとしては語れないので、「〜にも使えるとされる」くらいに受け取っておいてください。
6年使ってみて、正直どうだった?|「わかること」と「わからないこと」
ここが、この記事でいちばん正直に書きたいところです。
畑の野菜そのものに対して、「微生物活性剤のおかげで、はっきりこう変わった」と言い切れる場面は、正直なところありません。というのも、わが家ではストチュー水と一緒に使っていることも多く、活性剤「単体」の効果を切り分けるのが難しいからです。土や野菜が元気なのは事実ですが、それが草マルチのおかげなのか、多様な生き物のおかげなのか、活性剤のおかげなのか——正直、切り分けられません。だからこの記事では、「収穫が◯割増えた」といった威勢のいいことは書けません。
でも、確かに手ごたえを感じている場面があります。それが、さきほどお話しした有機物の分解です。草マルチや残渣に活性剤をかけると、分解が明らかに早くなり、腐敗の方に進みにくくなる。ここははっきり「効いているな」と感じます。
そして、わたしが6年間これを作り続けている、いちばんの理由がこれです。
微生物活性剤は、無農薬で野菜を育てるために欠かせないもの。土や株まわりの環境を良くして、トラブルが起きにくい畑をつくってくれています。
農薬を使わない畑では、「病気や害虫が出てから叩く」のではなく、「そもそもトラブルが起きにくい環境を整えておく」ことが大事です。活性剤は、有機物の分解を早めるだけでなく、土壌や株、株のまわりの環境そのものを良くすることで、その土台づくりを担ってくれていると感じています。
ちょうど、お味噌づくりみたいな感覚でしょうか。台所の材料が、日ごとに泡を立てて発酵していく様子を眺めるのは、それ自体がちょっとした楽しみでもあります。効果を数字で保証することはできませんが、「手作りの資材で、生き物の力を借りて畑の環境を整える」という営みそのものが、自然農の楽しさの一部だと感じています。
よくある疑問|ドライイースト・材料まわり
ドライイーストを土に混ぜても効きますか?
ドライイースト(酵母)をそのまま土に混ぜるというより、乳酸菌・納豆菌と一緒に発酵させて液体にしてから使うのが、この微生物活性剤の考え方です。3つの菌がチームで働くことで、土着微生物の活性化や有機物の分解につながるとされています。単体の粉を土にすき込むのとは、少し発想が違います。
材料はどれくらいこだわるべき?
わが家の実感では、それほど神経質にならなくて大丈夫です。ヨーグルトはプレーンでも加糖でもよく、安いもので十分。納豆・砂糖・ドライイーストもレシピどおり、だいたいの量で作れています。仕込みの水も、わが家では水道水をそのまま使っています。気楽に始められるのが、この資材のいいところです。
どれくらいの頻度で作ればいい?
わが家は500ml1本で2〜3か月もつ感覚で、春から夏に年4〜5回仕込んでいます。冬は発酵しにくいので少なめです。使う量やペースに合わせて、無理のない範囲で作るのがいいと思います。
まとめ|台所の材料で、畑の環境を整える
微生物活性剤(えひめAI)は、ヨーグルト・ドライイースト・納豆・砂糖という台所の材料で作れる、自然農にぴったりの自家製資材です。ドライイーストが土に効くのは、酵母単体の力というより、3つの菌がチームで有機物を分解し、土着微生物を応援するからとされています。
作り方はシンプルで、日なたに置いて7〜10日、泡と甘い匂いが成功のサイン。うまくいかなくても腐るのではなく「発酵しない」だけなので、気楽に始められます。野菜への直接効果を数字で約束はできませんが、草マルチや残渣の分解には確かな手ごたえがあり、わが家では無農薬でトラブルの少ない畑を保つための、大切な土台になっています。
失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。
この記事が、みなさんの微生物活性剤づくりのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農法の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。



