秋まき野菜カレンダー|7〜9月にいつ何をまくか・地域別の適期【自然農6年の実体験】

「秋冬野菜って、いつ種をまけばいいの?」「7月はまだ暑いけど、もう準備が必要?」「うちは寒い地域だけど、カレンダーどおりでいいの?」——そんな悩みを抱えていませんか?
秋まきは、1年の家庭菜園の中でも特に「時期」がものを言う季節です。数日のまき遅れが、結球しない白菜や肥大しない大根につながることもあります。しかも適期は住んでいる地域でずれます。同じ「9月にまく」でも、温暖地と寒冷地ではまるで事情が違うのです。
こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。
兼業サラリーマンとして週末だけ畑に立ち、温暖地(西日本・暖地)で6年間、秋まきを繰り返してきました。最初の頃は、種袋どおりにまいても定植したとたんに暑さや虫にやられたり、時期を逃したりと失敗続き。でも、野菜ごとの適期と猛暑のかわし方が分かってからは、秋冬の食卓がぐっと豊かになりました。
最初の頃は、植えたとたんに苗が消えたり、時期を逃したり。でも適期さえ掴めば、秋冬は一気に楽になります。
この記事では、まず温暖地を基準に「7月・8月・9月に何をまくか」をカレンダー形式でまとめ、そのうえで中間地・寒冷地ではどれだけ早めればいいかを地域別に整理します。各野菜の詳しい育て方は個別記事に譲り、ここでは「いつ・何を・直まきか育苗か」に集中します。猛暑に負けないコツと、自然農ならではの始めかたもあわせてお伝えします。



まず結論:7〜9月の秋まきカレンダー(地域別早見表)
細かい解説の前に、全体像を一覧にします。地域は種苗会社の作型表で使われる3区分です。
- 温暖地(暖地):四国・九州・本州の太平洋/瀬戸内沿岸など。おおむね年平均気温15℃以上。
- 中間地:関東・東海・近畿・中国地方の平地など。おおむね年平均気温12〜15℃。
- 寒冷地(冷涼地):北海道・東北・新潟・北陸・標高の高い地域など。おおむね年平均気温12℃未満。
◎が適期、○が可能(条件つき)、「直」は直まき向き、「育」は育苗(ポットなどで苗を作って定植)向きを表します。月の「上・中・下」は上旬・中旬・下旬です。
| 野菜 | 直/育 | 温暖地 | 中間地 | 寒冷地 |
|---|---|---|---|---|
| ダイコン | 直 | 9月(〜下旬) | 8月下〜9月中 | 8月上〜中 |
| カブ | 直 | 8月下〜9月 | 8月中〜9月中 | 7月下〜8月下 |
| ニンジン | 直 | 7月中〜8月中 | 7月中〜8月中 | 6月中〜8月上 |
| ハクサイ | 育/直 | 8月中〜9月上 | 8月中〜9月上 | 7月(育苗)/8月直まき |
| キャベツ(秋冬) | 育 | 7月下〜8月中 | 7月中〜8月上 | 7月上〜中 |
| ブロッコリー | 育 | 7月下〜8月 | 7月中〜8月上 | 6月下〜7月上 |
| カリフラワー | 育 | 7月下〜8月上 | 7月中〜8月上 | 6月下〜7月 |
| ホウレンソウ | 直 | 9〜10月 | 9月中〜下 | 8月下〜9月 |
| コマツナ | 直 | 9〜10月 | 9〜10月 | 8月〜9月中 |
| シュンギク | 直 | 9月中〜10月中 | 9月中〜10月中 | 〜8月末 |
| チンゲンサイ | 直 | 8〜9月 | 8〜9月上 | 7〜8月 |
| 玉レタス | 育 | 8月下〜9月 | 8月下〜9月 | 夏まき中心 |
| リーフレタス | 育/直 | 8月下〜9月 | 8月下〜9月 | 夏まき中心 |
| タマネギ(育苗) | 育 | 9月・定植11月 | 9月中〜下・定植11〜12月 | 東北は秋まき可/北海道は春まき |
| ニンニク | 球根 | 9月下〜10月(暖地系) | 9月下〜10月中 | 9月中〜下(寒地系品種) |
| ソラマメ | 直/育 | 10月下〜11月 | 10月中〜11月上 | 岩手以南は秋まき/以北は春まき |
| エンドウ | 直/育 | 10月中〜11月 | 10月下〜11月中 | 越冬可なら秋まき/不可なら春まき |
ソラマメ・エンドウ・ニンニクは「秋まき野菜」ですが、種まき・植え付けの本番は10〜11月です。7〜9月は土の準備や種球の用意をしておく時期、と考えてください。
※すべて目安です。品種・標高・その年の天候で前後します(標高が100m上がると気温は約0.6℃下がるので、同じ県でも高地は寒冷地寄りになります)。最後は種袋の作型表示と、お住まいの地域のJA・種苗店の情報を優先してください。寒冷地は緯度の幅が広く、東北南部と北海道では同じ「寒冷地」でも2〜4週間ずれます。
7月にまく野菜|暑さの中で「育苗」から始める
7月は1年で最も暑い時期。直まきには向きませんが、秋冬どりの結球野菜の育苗をスタートする大事な月です。ポットやセルトレイで苗を育て、涼しくなってから定植する——この「先回り」が秋の充実につながります。わが家でも、7月下旬はキャベツとブロッコリーの種まきから秋が始まります。
わが家の秋は、7月下旬のキャベツの種まきから静かに始まります。
わが家では、この結球野菜の種まきを7月下旬から8月上旬ごろに始めます。年によってばらつくので日付はきっちり決めず、うまくいかなければ種を下ろし直す、というくらいの気持ちで動いています。
最初の頃の一番の失敗は、キャベツ・白菜・ブロッコリーの苗が定植した直後に猛暑で消えてしまったことでした。ポットの中では無事に育っていたのに、畑に下ろしたとたんに消えてしまい、何度か植え直しました。当時はコスパを気にして育苗ポットの土を減らしたりと横着をしていたのですが、鉢上げなどをきちんとやって大きく丈夫な苗に育ててから植えるようにしてから、定植後に消えることがぐっと減りました。育苗がいかに大事か、身にしみてわかった出来事です。
もう一つ効いたのが、定植した直後の苗に日陰をつくることです。わが家では、防虫ネットを張った上に刈った雑草をかぶせて、木陰のような日よけにしています。定植直後の苗は水をうまく吸い上げられないので、残暑の直射日光を直接当てるとやられやすいのです。苗を甘やかすためではなく、弱い時期の苗を守るための一手です。
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定植直後の日よけ|防虫ネットを張った上に刈った雑草をかぶせた畝(8〜9月に撮影)。ネットと草の重なり方が分かる引きで。この記事の一番の見どころです。
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なお寒冷地では、この7月が秋まきの本格スタートです。初霜が早いぶん、温暖地より3〜5週間ほど前倒しになり、キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・ハクサイの育苗は7月(寒冷地北部は6月下旬)に始めます。
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7月下旬〜8月のポット育苗|防虫ネットと遮光の下で育つキャベツ・ブロッコリーの苗(経年・撮影年を添える)。
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キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー(育苗)
秋冬どりのキャベツ・ブロッコリー・カリフラワーは、温暖地では7月下旬〜8月の育苗が中心です。中間地は7月中旬〜8月上旬、寒冷地は6月下旬〜7月とぐっと早まります。高温期の育苗になるので、最初から防虫ネットをかけ、強い日差しは遮光ネットでやわらげると安定します。苗が本葉5〜6枚に育ったら畑へ定植します。
わが家のポット育苗は、日当たりと風通しのよい場所に置くのが基本です。狙いは徒長させないこと。日差しが強すぎて苗が干からびそうなときだけ、半日陰に移して調整します。水やりも基本は朝だけで、夕方はよほど干からびそうでない限りあげません。暑い時期は徒長しやすいので、水を絞って締めて育てるようにしています。ポットの中では締めて育て、畑に下ろした直後だけは日陰で守る——同じ猛暑でも、局面によってやることが逆になるのがおもしろいところです。
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ポット育苗の置き場所|日当たりと風通しのよい棚を引きで(7月下旬〜8月に撮影)。上の「苗のアップ」とは別に、置き場所が分かる1枚。
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結球野菜は「低温に入る前に、どれだけ大きな株(外葉)を作れるか」で結球が決まります。育苗の詳しいコツは、キャベツの記事にまとめています。



ニンジン(直まき)
ニンジンは数少ない「7月にまける直まき野菜」です。温暖地・中間地では7月中旬〜8月中旬、寒冷地は6月中旬〜8月上旬が夏まきの適期。ただしニンジンは「発芽させれば半分成功」と言われるほど、発芽が最大の関門です。
ニンジンの種は乾燥に弱く、まいた後に土が乾くと発芽しません。種まき後はしっかり鎮圧して土と種を密着させ、発芽までは毎朝水やりを欠かさないのがコツです。刈り草や切りわらを薄くかけて乾燥を防ぐのも有効です。
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ニンジンの直まき|鎮圧したあと、切りわらや刈り草を薄くかけた畝。
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8月にまく野菜|秋まきの本格スタート
8月は、結球野菜の育苗が本番を迎え、下旬からは直まき野菜も始まる、秋まきの中心月です。ただし残暑が厳しい年は、無理に上旬にまかず、下旬〜9月初旬に寄せたほうが失敗が減ります。
寒冷地では8月はもう「仕上げ」に近い時期です。ダイコン・カブは8月中、ハクサイの直まきも8月〜9月上旬の早生種が限界。初霜から逆算して、間に合わない野菜は早生品種に切り替えます。
ハクサイ(育苗・直まき)
ハクサイは温暖地・中間地では8月中旬〜9月上旬が適期。生育期間が短い「短期決戦型」の野菜で、低温に入る前に結球させる必要があるため、まき遅れが最も怖い野菜です。結球に適した温度は15〜16℃で、4℃以下になると結球が止まります。
寒冷地では7月に育苗を始めるか、8月〜9月上旬に早生種を直まきします。「遅まきすると寒さで結球せずに生育が止まる」ため、寒い地域ほど期限が早いのが鉄則です。
ハクサイは本来は直まき向きですが、自然農では発芽の安定と虫害回避のためにポット育苗を選ぶ人も多いです。わが家でも、確実に苗を確保したい年はポットで育ててから定植しています。残暑が長引いて適期に間に合わないときは、生育日数の短い早生・極早生品種に切り替えると間に合わせやすくなります。
育苗の作型選びと水管理は、白菜の記事で詳しく解説しています。



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8月の白菜のポット苗(経年・撮影年を添える)。
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コマツナ・チンゲンサイ(直まき)
コマツナ・チンゲンサイは生育が早く、8月から直まきできる育てやすい葉物です。種まきから30〜40日ほどで収穫でき、秋まきの「最初の一歩」に向いています。寒冷地は7〜8月、温暖地・中間地は8〜9月が目安です。
ただしアブラナ科なので、この時期はコナガやアオムシなどの害虫がつきやすいのが難点。まいたらすぐに防虫ネットをかけておくのが、無農薬で育てるいちばんの近道です。
レタス(育苗)
玉レタス・リーフレタスは、温暖地・中間地では8月下旬から育苗を始め、9月に定植します。レタスはキク科で、アブラナ科の害虫がつきにくいのも家庭菜園向きのポイントです。
レタスは冷涼を好む野菜で、長野や北海道などの高冷地ではむしろ夏が栽培適期です(夏レタスの一大産地)。逆に温暖地の真夏まきは、発芽でつまずきやすいので注意が必要です。レタスの種は気温が高いと「休眠」して発芽しにくくなる性質があります。真夏にまくときは、種を一晩水に浸けてから濡らしたペーパーで包み、冷蔵庫で数日おいて芽が動いてからまく「芽出し」が有効です。また光を好む種なので、覆土はごく薄くします。
9月にまく野菜|直まきの黄金期(温暖地・中間地)
9月は、残暑が和らぎ地温も下がってくる、直まき野菜の黄金期です。大根・カブ・ほうれん草・春菊——秋まきの主役たちが一斉に登場します。わが家でも、9月の種まきは1年でいちばんワクワクする時間です。
9月の種まきは、1年でいちばんワクワクする時間です。
ただしこれは温暖地・中間地の話。寒冷地では9月はもう晩い時期で、まけるのは早生のホウレンソウ・コマツナや、雪の前に収穫できる葉物に限られます。寒冷地の方は、この章の野菜は1か月ほど早めて8月に済ませるイメージで読んでください。
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9月の直まき|大根・カブの発芽がそろったところ(経年・撮影年を添える)。
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ダイコン・カブ(直まき)
ダイコンは温暖地では9月上〜中旬が適期で、暖地なら9月いっぱいまでまけます。中間地は8月下旬〜9月中旬、寒冷地は8月上〜中旬が中心です。早まきすると高温で病気が出たり、根の形が乱れたりしやすいので、温暖地・中間地では焦らず9月に入ってからで十分です。カブも同様で、カブは直まきのほかバラまきにも向きます。
わが家では、大根は秋まきのなかでもほぼ外さない定番です。連作にも強く、安心して作れます。定番の組み合わせはニンジンとの混植で、これは毎年のようにやっています。
ダイコンの点まき・間引きのコツやおすすめ品種、コンパニオンプランツは、大根の記事にまとめています。



ホウレンソウ(直まき)
ホウレンソウは温暖地・中間地では9月から本格的にまけます(寒冷地は8月下旬〜9月)。寒さに当たると甘みが増す、冬の代表選手です。
ホウレンソウも種皮が硬く、高温期は発芽がそろいにくい野菜。気温が高いうちにまくときは、レタスと同じく芽出ししてからまくと安定します。9月まきは生育がやや進みにくいので、株間を少し広め(7cmほど)にとるのがコツです。
シュンギク(直まき)
シュンギクは温暖地・中間地では9月が中心で、まける期間が比較的長い野菜です。寒冷地は霜に弱いため8月末までが目安。発芽がゆっくりで、光を好む好光性の種なので、覆土はごく薄くするのがポイントです。
タマネギ(育苗開始)・ニンニク(植え付け)
タマネギは温暖地・中間地では9月が育苗開始の本番です。品種によって時期が分かれ、早生が9月中旬、中晩生が9月下旬ごろが目安。苗を育てて11月(中間地は11〜12月)に定植します。早まきして大苗で越冬するととう立ち(抽苔)しやすく、遅まきすると小さい苗になって越冬しにくいので、品種に合った時期と適正な苗の太さ(鉛筆くらい)を守るのが肝心です。
なお寒冷地のタマネギは作型が分かれます。詳しくは次の章で扱います。
ニンニクは温暖地では9月下旬〜10月が植え付け適期。暑いうちに植えると腐敗や病気のリスクがあるので、少し涼しくなってからにします。品種は地域で使い分けが必要で、これも次の章でまとめます。
寒い地域はどうする?|中間地・寒冷地の補正と作型の切り替え
ここまで温暖地を基準に見てきました。中間地・寒冷地では「全体に早める」だけでなく、野菜によっては作型そのものが変わります。ポイントを整理します。
どれだけ早める?|カテゴリ別の補正の目安
温暖地の適期を基準にした、おおまかな前倒し幅です。
カテゴリ別・前倒しの目安
- 根菜(大根・カブ・ニンジン):中間地は約1〜2週間早い。寒冷地は約4〜6週間早い。
- 結球葉菜(白菜・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー):中間地は約2週間早い。寒冷地は約3〜5週間早い。
- 軟弱葉物(ほうれん草・小松菜・春菊・チンゲンサイ):中間地は約1週間早い。寒冷地は約2〜4週間早い。
- レタス:中間地は約1週間早い。高冷地は夏が適期。
- タマネギ・ニンニク・マメ類:単純な前倒しではなく「作型が変わる」(下記)。
寒冷地は初霜・降雪が早いぶん、「収穫前に寒さが来て育ちきらない」のが最大のリスクです。結球野菜は初霜のおよそ2〜2.5か月前までに結球を終わらせる必要があります。だから寒冷地ほど、種まきの締め切りが早いのです。間に合わないと感じたら、生育日数の短い早生・極早生品種に切り替えるか、トンネルや不織布で保温して寒さを先延ばしにします。
タマネギ|北海道は「春まき」が基本
タマネギは寒冷地で作型がはっきり分かれます。本州の多くは秋まき(9月)→11月定植→翌初夏収穫ですが、北海道は冬の寒さで苗が越冬できないため、春まきが基本です。北海道では2月中旬ごろからハウスで種をまき、夏から秋に収穫します。
ここで注意したいのが品種です。北海道向けに改良された品種は本州では育てにくく、逆に本州向けの秋まき品種を寒冷地北部で秋にまいても越冬できません。タマネギは「自分の地域の作型に合った品種」を選ぶことが、ほかの野菜以上に大切です。東北南部は秋まきもできますが、越冬に注意が必要な境目の地域です。
ニンニク|寒地系か暖地系か
ニンニクは品種が大きく2系統に分かれます。
- 寒地系(福地ホワイト六片など):北海道・東北・高冷地向け。植え付けは寒冷地で9月中〜下旬。
- 暖地系(上海早生・嘉定・平戸・島にんにくなど):関東以西〜九州・沖縄向け。植え付けは9月末〜10月。
寒冷地で暖地系を、暖地で寒地系を植えると、生育リズムが合わず失敗しやすくなります。お住まいの地域に合った系統を選んでください。植え付け時期は寒冷地ほど早く、暖地ほど遅い、と覚えておくとよいでしょう。
ソラマメ・エンドウ|寒冷地北部は「春まき」に回る
ソラマメとエンドウは、秋まきで越冬させるのが基本ですが、寒さが厳しい地域では春まきに切り替わります。目安として、エンドウは岩手県以南までが秋まき越冬の境目とされ、それより寒い地域(東北北部・北海道・中部の高冷地など)は春まきが安全です。ソラマメも同様に、東北以北・高冷地は春まきになります。
秋まきする場合は、本葉2〜3枚の小さな苗で冬を越させるのが寒さに最も強く、大きくしすぎると寒害で枯れやすくなります。早まきは禁物です。春まきの地域では、2月中旬以降に無加温のハウスやポットで育苗してから定植します。
盛夏に失敗しないコツ|高温・乾燥・害虫をかわす
7〜8月の秋まきがうまくいかない原因の多くは、「高温」「乾燥」「害虫」の3つです。この3つさえかわせれば、発芽の成功率はぐっと上がります。これは温暖地はもちろん、近年は中間地や東北南部・関東内陸など、夏に暑くなる地域でも共通の課題です。
レタスやホウレンソウは、種が「これは育つのに良くない暑さだ」と感じると休眠して発芽しなくなる性質があります。目安として、レタスは気温が25℃を超えると発芽が悪くなり、ニンジンも35℃近い高温では極端に発芽が落ちます。つまり真夏の直まきは、種にとって過酷な環境なのです。
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レタスまたはほうれん草の、芽出し(催芽)をした種。白い根が見えている状態。
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発芽しにくい野菜(レタス・ホウレンソウ・ニンジン)は、次の3つで乗り切ります。
- 芽出し(催芽):種を一晩水に浸け、濡らしたペーパーで包んで冷蔵庫に2〜3日。白い根が見えてからまくと、暑い時期でもそろって発芽します。
- 夕方にまく:日中の暑さを避け、夕方にまいて夜の涼しさで吸水させます。
- 遮光する:まいた後の2〜3日は、寒冷紗や不織布、新聞紙などで直射日光をやわらげると地温が下がります。
直まきの大敵は乾燥と、夕立による土の固まりです。種まき後は土をしっかり押さえて種と密着させ(鎮圧)、その上に刈り草や切りわら、もみ殻を薄くかけると、乾燥と雨のはね返りを同時に防げます。水やりは朝にたっぷり1回が基本。やりすぎは軟弱徒長や酸欠を招くので注意します。
秋まきのアブラナ科(大根・カブ・白菜・キャベツ・小松菜など)には、コナガ・アオムシ・ヨトウムシ・キスジノミハムシなどがつきます。いちばん確実なのは、種まき・定植と同時に防虫ネットや寒冷紗をかけて、虫が卵を産みにこられないようにすることです。被害が出てから対処するより、最初から入れない方がずっと楽です。ネットの裾は土でしっかり押さえ、すき間を作らないのがコツです。
水やりの考え方や、葉物に有効なストチュー水(酢・焼酎・木酢液を1:1:1で混ぜた希釈液)の使い方は、別記事で詳しく解説しています。






なお7月前半はまだ梅雨の長雨が残る年もあります。長雨の時期の病気予防は、梅雨対策の記事も参考にしてください。



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防虫ネットをかけた秋まきの畝。裾を土で押さえてすき間がない状態が分かるように。
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自然農での秋まきの始めかた|直まき・草マルチ・防虫・連作
ここからは、自然農・不耕起ならではの秋まきの進め方をまとめます。耕さず、肥料に頼らず、雑草や生き物の力を借りて育てるのが基本の考え方です。
そしてわが家では、秋にまくのは野菜だけではありません。畝の脇や通路には緑肥もまいておきます。雑草が減る冬から春先は草マルチの材料が足りなくなりがちで、秋にまいた緑肥がその端境期を埋めてくれるからです。秋の種まきは、その年の収穫のためだけでなく、翌春の土づくりの仕込みでもある——そう考えると、忙しい時期の種まきも少し楽しくなります。
直まき・バラまきを活かす
大根・カブ・ニンジン・小松菜・ほうれん草・春菊は直まき向き。カブや小松菜は、種を混ぜて畝にばらまく「バラまき栽培」とも相性がよく、ほぼ放任で育てられます。一方、白菜・キャベツ・ブロッコリー・レタス・タマネギは育苗して定植したほうが安定します。特に寒冷地では初霜が早く直まきでは間に合わないことが多いので、結球野菜はポット育苗が安心です。
バラまき栽培は、防虫ネットや施肥を気にせず、一部が虫にやられても全滅しにくいのが魅力です。やり方はバラマキ栽培の記事にまとめています。



草マルチを敷いた畝にまく
不耕起の畝には、刈った雑草を敷く「草マルチ」が土を守ってくれます。秋まきのときは、種をまく溝や穴の部分だけ草マルチを薄く分けて、種が土に密着するように鎮圧してからまきます。発芽したら、株元に草を寄せ戻すと乾燥を防げます。
ただし、発芽までは溝の上に草を厚く敷きすぎないこと。厚いと地温が下がりにくかったり、発芽の邪魔になったり、ナメクジの隠れ家になったりします。草マルチの仕組みと効果は、こちらの記事で解説しています。



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草マルチを溝の部分だけ分けて種をまいたところ。草を寄せた境目が分かるように。
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無農薬で虫を防ぐ|ネット+混植
無農薬の防虫は、物理的な防虫ネットがいちばん確実です。それに加えて、相性の良い植物を組み合わせる「コンパニオンプランツ」が役立ちます。たとえばアブラナ科(カブ・白菜など)とキク科(春菊・リーフレタス)を混植すると、互いの害虫を遠ざけ合います。
ただし、相性の悪い組み合わせもあるので注意が必要です。






不耕起で雑草を適度に残しておくと、クモやカマキリ、ゴミムシなどの天敵(益虫)がすみつき、害虫を食べてくれる環境も整っていきます。
連作を避ける|特にアブラナ科
秋まき野菜はアブラナ科(大根・カブ・白菜・キャベツ・ブロッコリーなど)が多く、連作すると根こぶ病などが出やすくなります。同じ科の野菜は最低2〜3年は同じ場所に植えないのが安全策です。区画をローテーションして、植える場所をずらしていきましょう。
わが家では、秋の結球野菜(アブラナ科)は少し手間がかかるぶん、つい後回しにしたくなります。それでもサボらないようにしているのには理由があって、秋にアブラナ科をしっかり植えておくと、翌年の夏に同じ畝で育てるナス科(ナス・トマトなど)の生育がよくなる、という実感があるからです。目の前の秋の収穫だけでなく、来年の夏へのつながりとして秋まきをとらえています。



まき床と片づけ・道具
秋まきの前の畝(まき床)の準備や、夏野菜を片づけて秋冬野菜に切り替える流れは、それぞれの記事を参考にしてください。畝の準備や草刈りには、のこぎり鎌が1本あると便利です。









近年の猛暑と「後ろ倒し」|遅らせるより品種で調整
近年は9月になっても残暑が厳しく、「種袋どおりの時期にまいたら発芽しなかった」という声が増えています。種苗会社や農家の間でも、ブロッコリーやキャベツの播種・定植を「半月ほど後ろ倒しにする」動きが広がっています。わが家でも、結球野菜は以前より少し遅めにまくようにしてから、失敗が減りました。これは温暖地だけでなく、中間地や東北南部・関東内陸など、夏に暑くなる地域にも共通の傾向です。
遅らせすぎは禁物です。特に白菜・キャベツは、遅らせると低温期までに大きくなれず結球しなくなります。遅れる場合は、まく時期を遅らせるのではなく、早生・極早生品種に切り替えて調整するのが安全です。「遅らせる」より「品種で間に合わせる」と覚えておくとよいでしょう。
一方、寒冷地ではむしろ温暖化で栽培できる期間が延びたり、これまで難しかった作物が作れるようになる動きも出ています。とはいえ、極端な大雨や高温で作柄が不安定になるリスクも併せ持っているので、油断は禁物です。
結球野菜は少し遅めにまくようにしてから、失敗がぐっと減りました。
わが家では、以前は7月中旬ごろに始めていた結球野菜とレタス類の種まきを、今は気持ち2週間ほど遅らせて、7月下旬から8月上旬にしています。理由はシンプルで、暑さで苗が消えるのだから、一番暑い盛りにわざわざ植える必要はなく、暑さが引いてきた頃に定植したいからです。ただし、遅らせすぎると低温期までに株が大きくなれず結球しなくなるので、そのさじ加減が難しいところです。だから大きくはずらさず、あくまで気持ち2週間くらいにとどめています。
なお、これらはあくまで現場の実務的な傾向で、何月何日にずらせばよいという決まった基準があるわけではありません。その年の天候を見ながら、毎年少しずつ調整するのが現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 7月はまだ暑いのに、もう秋まきの準備が必要ですか?
温暖地でも、秋冬どりのキャベツ・ブロッコリーは7月下旬から育苗を始めます。寒冷地ならなおさらで、7月(北部は6月下旬)が結球野菜の育苗本番です。直まきの大根や葉物はもう少し後ですが、結球野菜だけは早めに動き出すのがおすすめです。
Q2. 種袋の時期どおりにまいたのに発芽しません。なぜ?
真夏は高温で種が休眠し、発芽しにくくなることがあります。特にレタス・ホウレンソウ・ニンジンで起こりやすい現象です。芽出し(催芽)をしてからまく、夕方にまく、まいた後を遮光する、の3つで改善します。
Q3. うちは寒い地域です。カレンダーはどれだけ早めればいい?
野菜のグループで変わります。根菜は温暖地より2〜6週間、結球野菜は3〜5週間、葉物は2〜4週間早めるのが目安です。タマネギ・ニンニク・ソラマメ・エンドウは「早める」だけでなく作型や品種そのものが変わるので、本文の地域別の章を確認してください。最終的には種袋の「寒冷地」欄を優先してください。
Q4. 結局、白菜と大根はいつまでにまけばいいですか?
温暖地の目安は、白菜が8月中旬〜9月上旬、大根が9月上〜中旬(暖地は9月いっぱい)。中間地は白菜が8月中旬〜9月上旬・大根が8月下旬〜9月中旬、寒冷地は白菜が7〜8月・大根が8月上〜中旬です。遅れそうなときは早生・極早生品種を選ぶと間に合わせやすくなります。
Q5. 防虫ネットは必ず必要ですか?
無農薬で秋まきのアブラナ科を育てるなら、ネットがいちばん確実です。バラまき栽培のように「全滅しにくい育て方」で割り切る方法もありますが、白菜やキャベツなど1株を大きく育てる野菜は、ネットをかけたほうが安心です。
まとめ
秋まきは「時期」と「地域」がすべて、と言ってもいいくらい、まくタイミングが収穫を左右します。最後に流れを整理します。
- 温暖地:7月下旬に結球野菜の育苗開始 → 8月に白菜・レタス育苗と葉物の直まき → 9月が大根・カブ・ほうれん草・春菊の直まき黄金期。
- 中間地:温暖地より1〜2週間早めるイメージ。結球野菜は7月中〜8月上旬。
- 寒冷地:3〜5週間早める。結球野菜は7月(北部は6月下旬)育苗、根菜・葉物は8月が中心。9月はもう晩い。タマネギ(北海道は春まき)・ニンニク(寒地系品種)・ソラマメ/エンドウ(北部は春まき)は作型の切り替えに注意。
最後に、6年続けてきて思うことをひとつ。秋まきというと、つい「何を・いつまくか」に目が行きがちです。でも、わが家でいちばん大事にしているのは、草マルチやストチュー水といったいつもの作業を、秋まきの忙しい時期も止めないことです。野菜は主役ですが、その野菜を支える畝を維持しているのは、この地味な通常運転のほうだと感じています。
もうひとつ、わが家の失敗から。育て方よりも「穫り遅れ」でつまずいたことがあります。量を作りすぎて穫りきれず、収穫が遅れてとう立ちさせてしまったのです。冬は寒くて畑に出る回数がどうしても減るので、欲張ってたくさんまくよりも、穫るタイミングを逃さない量にとどめるのも、秋まきの大事なコツだと思っています。
そして、猛暑をかわす3つのコツ——芽出し・敷き草と朝の水やり・まいたらすぐ防虫ネット。この3つを押さえれば、暑い時期の秋まきもぐっと楽になります。土づくりや資材については、緑肥やもみ殻の記事もどうぞ。






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まとめ|冬どり間近の畝、または収穫した秋冬野菜。
▲写真はこのボックスの上(外側)に入れて、ボックスごと削除してください。
最初の年は、時期を逃したり、芽が出なかったりするかもしれません。でも、それも含めて秋まきの経験です。自分の畑のリズムは、何度かまくうちに少しずつ見えてきます。
失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。
この記事が、みなさんの秋まきのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。
