土づくり編 2026.06.28 ☕ 約17分で読めます・2026.07.14更新

自然農の土づくり完全ガイド|真砂土のガチガチの庭が6年で“育つ土”に変わった全手順【無肥料・無農薬・不耕起】

「自然農って、耕さないし肥料も入れないんですよね。それで本当に野菜が育つんですか?」

「やるとしても、いったい何から手をつければいいの?」

「土が変わるって言うけど、どれくらいかかるの?」

家庭菜園を始めたばかりの方から、いちばんよく聞かれるのがこの3つです。スーパーに行けば「野菜が育つ土」が袋で売られていて、肥料の棚には色とりどりのパッケージが並んでいます。土は買うもの、肥料は足すもの——そう考えるのが当たり前の時代に、「耕さない・肥料を入れない・農薬を使わない」と言われても、にわかには信じられないのも当然だと思います。

こんにちは。無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践しているダイヤンです。週末だけ畑に立つサラリーマンが、この6年間ずっと向き合ってきたのが、まさにこの「土づくり」でした。

わが家のスタート地点は、外構業者が入れた真砂土(まさど)の庭。シャベルが3cmしか刺さらない、白くてガサガサの土でした。それが6年たった今、耕していないのに黒くてホロホロ、森の中にいるような匂いのする土に変わりました。一掘りすればミミズが何匹も出てきます。

この記事は、その6年を一枚の地図にまとめたものです。「自然農の土づくりとは何なのか」という全体像と、わが家が実際にたどった順序・つまずき・土が変わっていった通史を背骨にしています。草マルチや緑肥といった一つひとつのやり方は専用の記事にゆずりますので、まずはここで地図をつかんでいってください。

「いい土をつくらなきゃ」と力むほど、かつての僕は失敗しました。手をかけるのをやめたら、かえって土が育っていったんです。

ひとつだけ先にお伝えしておきたいことがあります。この記事では「肥料が不要になる」とは言い切りません。草マルチ・緑肥・残渣・根を残すこと・耕さないこと——その全部が合わさって、結果として肥料を買わずに野菜が育っている、というのが正直なところです。どれか一つの手柄ではありません。実際わが家でも、最初の1〜2年は腐葉土を少量だけ使い、3年目以降はゼロになりました。「これさえやれば」という魔法ではなく、土の生き物に少しずつ働いてもらう——その地図として読んでいただけたら嬉しいです。

自然農そのものの始め方に興味がある方は、全体像をまとめたこちらの記事もどうぞ。

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目次

真砂土ゼロ地点から——わが家の土はこうして変わった【通史・前編】

土づくりの理屈に入る前に、まず「わが家の土がどこから始まったか」をお話しさせてください。きれいな成功談ではなく、一度しっかり遠回りした記録です。

シャベルが3cmしか入らない、真砂土の庭

わが家の庭は、家を建てたときに外構業者が真砂土で埋めたものでした。真砂土は花崗岩が風化した砂状の土で、見た目は白っぽくガサガサ。シャベルを突き立てても3cmほどしか刺さらず、握っても匂いがしません。

正直に言うと、最初にこの土を見て「これは育たないだろうな」と感じました。真砂土は水はけはよいのですが、保水・保肥の力が弱く、そのままでは野菜が育つ土になるまでにかなりの時間がかかります

最初の一手は「草マルチ」ではなく「土の調達」だった

ここが、多くの土づくり記事と違うところかもしれません。わが家が真砂土の上で最初にやったのは、草を敷くことでも種をまくことでもなく、「畝の土台になる土を確保すること」でした。

きっかけは、まったくの偶然です。どうやって土を調達しようかと数年考えていたところ、知人から「庭の家庭菜園で使っていた土が不要になったので、もらってくれないか」と声をかけてもらえたのです。ホームセンターで購入して2年ほど使った培養土を、大量に譲り受けることができました。

これを真砂土の上に敷き詰めて、畝を立てました。イメージは、仕切りのないレイズドベッド(高畝)です。真砂土を一から作り変えるのは時間がかかりすぎるので、「その上に育つ土の層をのせてしまう」という発想でした。

固い土・真砂土・粘土質をゼロから立ち上げる具体的な手順は、こちらに詳しくまとめています。

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従来のやり方で、一度しっかり行き詰まった

土台ができたあと、わたしは最初、ごく一般的なやり方で野菜を育てていました。土を耕し、肥料と石灰を入れ、苗を植え、毎日水やりを欠かさない——よく知られた家庭菜園のスタイルです。

でも、これが長続きしませんでした。いちばんの理由は、土が固すぎたことです。

譲り受けた培養土は割と粘土質で、耕せば一時的にはふわふわになります。ところが雨が降って土が締まると、まるでコンクリートのようにガチガチになってしまう。乾くと塊が握りつぶせないほど硬くなる。これでは野菜が根を伸ばしていけません。そのたびに耕し直す——その繰り返しに、「このやり方では続かないな」と痛感しました。土日も働くサラリーマンには、毎週末の耕うんと水やりは重すぎたのです。

この「肥料・石灰をやめた地点」が、結果的にわが家の“無肥料”の出発点になりました。とはいえ、いきなり全部をやめられたわけではありません。前述のとおり、最初の1〜2年は腐葉土を少しだけ使っています。

ネットで「自然農」を知り、方針を切り替えた

行き詰まりの中で家庭菜園について調べていて、「自然農(自然農法)」という考え方に出会いました。雑草や虫を敵にせず、土の生き物に働いてもらう——その発想に「これだ」と腑に落ちて、耕すのをやめる方向へ舵を切りました。

最初に立てた畝も、その後は耕していません。畝立ては最初の一度きりで十分、というのが自然農の考え方です。

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無肥料でも野菜が育つ理由|微生物・団粒構造・養分の循環

「肥料を入れないのに、野菜に必要な栄養はどこから来るの?」——ここが、自然農の土づくりでいちばんの謎だと思います。答えは、土の中で起きている3つの働きにあります。ここは、いろいろな研究機関や農業の解説で説明されている一般的な仕組みを、わたしなりにかみくだいてご紹介します(実体験ではなく、裏づけとして読んでください)。

微生物と小さな生き物が「分解」する

枯れた草、落ち葉、虫やミミズの亡骸。こうした有機物は、土の表面で微生物やダンゴムシ、ミミズに少しずつ食べられ、分解されていきます。分解されると、植物が根から吸える形の養分に変わります。つまり、土の上に積もった「生き物の亡骸(なきがら)」が、ゆっくりと天然の養分に変わっていくわけです。

自然農では、この表層を「亡骸(なきがら)の層」と呼ぶことがあります。不耕起では、植物の残渣を土にすき込まないぶん、有機物が主に地表面に積み重なって集積層をつくるとされています。ここが、肥料を入れなくても野菜が育つ土台になります。

微生物と植物の根が「団粒構造」をつくる

ふかふかの良い土には、小さな土の粒が集まった「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」があります。これは、細菌が分解の過程で出す粘り気のある物質(多糖類)や、菌類(糸状菌)の細い菌糸、植物の根が、土の粒子を糊のように結びつけてできるとされています。

団粒構造ができると、土の中に大小の隙間が生まれ、水はけと水もちが両立し、空気もよく通るようになります。おもしろいのは、耕してフカフカにした土は雨が降るとすぐ固まるのに対し、生き物がつくった団粒構造は雨が降っても簡単には崩れにくいと言われている点です。わが家で「雨で締まってもガチガチになりにくくなった」と感じるのは、おそらくこの違いなのだと思います。

「なぜ草を敷くと土がふかふかになるのか」を仕組みから知りたい方は、こちらで詳しく解説しています。

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菌根菌・根粒菌が養分を「運ぶ・つくる」

土の中には、植物と手を組む菌もいます。代表が「菌根菌(きんこんきん)」です。菌根菌は陸上植物の約8割に共生する糸状菌で、細い菌糸を土の中に張りめぐらせ、植物の根が届かない場所から養分(とくにリン酸)や水分を集めて植物に渡し、お返しに植物から光合成でつくった糖をもらう、いわば物々交換のパートナーだとされています。

おもしろいのは、肥料でリン酸を与えすぎると、植物はこの菌を呼ぶ必要がなくなり、菌根菌の働きが抑えられてしまうとされること。逆にリン酸の少ない土ほど、菌根菌は活発になると言われています。つまり、肥料を入れないことが、かえって菌との関係を育てるわけです。

もうひとつ、マメ科の植物の根につく「根粒菌(こんりゅうきん)」は、空気中の窒素を植物が使える形に変える働きを持つとされています。エダマメやインゲンを育てたあとの畝が元気になりやすいのは、この根粒菌のおかげと言われ、緑肥にマメ科を混ぜるのも、この力を借りるためです。

不耕起にして数年たった畝を掘ると、白い菌糸が土の粒にびっしり絡んでいて、土を持ち上げるとホロッと団子状に崩れます。ミミズも驚くほど増えました。「養分を足す」ことばかり考えていた頃には、一度も見られなかった光景です。土の中に、目に見えない働き手がこんなにいたのかと驚かされます。

自然農の土づくり「4本柱」|わが家が実際に始めた順番

理屈がわかったところで、では具体的に何をするのか。自然農の土づくりでわたしがやっていることは、突きつめると4つだけです。どれも「足す」というより「めぐらせる」ための作業です。

教科書的には〈草マルチ・緑肥・米ぬか/微生物資材・残渣〉の4つですが、ここではわたしが現実に手をつけた順番で並べます。「正しい順序」ではなく、真砂土ゼロ地点から始めた一人の実際の足どり、として読んでください。

着手順やることおもな役割
草マルチ刈った草を土の上に敷く土を裸にせず乾燥・流亡を防ぐ/分解されて養分と団粒になる
残渣を還す収穫後の茎葉を畝に戻す持ち出さず、その場で循環させて土に返す
米ぬか・微生物資材米ぬかや活性剤を少量補う微生物のエサとなり、分解と発酵を後押しする
緑肥マメ科・イネ科を育てて活かす窒素固定・深い根で土を耕す・草マルチの材料になる

草マルチ|土を裸にしない(最初の一手)

自然農を知ってまず取り組んだのが、刈った草を畝の上に敷く「草マルチ」でした。土を裸にしないことで、乾燥や雨による表土の流亡を防ぎ、敷いた草はやがて分解されて養分と団粒に変わっていきます。費用はゼロ、しかも草刈りのついでにできます。

ただ、わが家の庭は真砂土。そもそも雑草が生えにくい土なので、畝に敷くだけの草を自分の庭では到底まかなえませんでした。そこで、のこぎり鎌と一輪車を持って近くの河川敷へ行き、草を刈っては運ぶ——という日々が始まりました。「土を裸にしないには、とんでもない量の草がいる」と、初日に思い知ったのを覚えています。具体的な厚さ・量・敷き方は実践ガイドにまとめています。

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残渣を還す|持ち出さない(草マルチの次に始まった)

草マルチを始めて野菜を育てるようになると、収穫が終わったあとに茎や葉の「残渣」が出ます。最初にこれを見て、「捨てるのはもったいない、これも使えないかな」と考えたのが始まりでした。調べてみると、残渣もまた土を育てる立派な資材になると知りました。

収穫後の夏野菜・冬野菜の茎葉を、ゴミとして持ち出さず、細かく刻んで畝に戻す。その場で育ったものをその場に返すことで、養分が外に流出せず、土の中をめぐり続けます。これが、堆肥を「外から買って入れる」やり方と、自然農の大きく違うところです。夏と冬では残渣の性質(硬さ・水分量)が違うので、扱い方も分けています。

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米ぬか・微生物資材|分解を後押しする

実は、わが家で米ぬかが登場したのは「肥料として」ではありません。②の残渣をしっかり分解させるためのパートナーとして入ってきました。残渣を細かく刻み、そこに米を作っている身内から分けてもらった米ぬかをまぶして畝の上に敷く——これが最初の使い方でした。

「無肥料」と言いながら米ぬかやストチュー水、微生物活性剤を使うのは矛盾に見えるかもしれません。でもこれらは、野菜に直接効かせる肥料ではなく、土の生き物(微生物)を応援するための資材という考え方です。米ぬかは微生物の格好のエサになり、分解と発酵を後押ししてくれます。

使うときのコツは「少なく、こまめに」。量の目安は一株あたり一〜二握りで、土の状態を見ながら足したり控えたりします。撒きすぎは禁物です。作り方や使い方は、それぞれの記事にゆずります。

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緑肥|植物の力で土を耕す(材料不足の救世主)

緑肥とは、土を豊かにするために育てる植物のことです。わが家で導入したのは、菜園を始めて2〜3年目のころ。きっかけは、やはり草マルチの材料が足りなかったことでした。

つる新の緑肥ミックス(マメ科・イネ科のバランス配合)を、畝の脇や通路との間に帯状にまいています。マメ科は根粒菌の力で窒素を蓄え、イネ科は深く根を張って、硬くなった土を内側から砕いてくれるとされています。そして育った緑肥は、そのまま刈って草マルチの材料にもなる。「材料が足りない」という家庭菜園あるあるの、いちばんの解決策でした。配合の選び方や運用は、こちらに詳しくまとめています。

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通路の土づくり|もみ殻と「年末のひと手間」で裸にしない・呼吸させる

見落とされがちなのが、畝と畝のあいだの「通路」です。ここを踏み固めてしまうと、土全体の水はけが悪くなり、畝にも影響します。

もみ殻を敷く前のわが家の通路は、雨が降るとぐちゃぐちゃにぬかるみ、乾くとガチガチ。これでは畝の上の野菜にも良くないな、と感じていました。そこで「畝の周りにもみ殻を敷くと土を踏み固めずにすむ」と知り、これも米を作っている知人から分けてもらったもみ殻を、畝の周りにたっぷり敷きました。もみ殻は分解がとてもゆっくりなので、長いあいだ通路をふかふかに保ってくれます。

さらにわが家では、年に一度、年末あたりに通路へスコップを差し込み、土を2〜3cm軽く浮かせて空気を入れます。掘り返したり、土をひっくり返したりはしません。こうすると、空気ともみ殻などの有機物が通路の土の中に入り、土の中の生き物や植物が呼吸できる状態になります。

効果ははっきりしていました。もみ殻をよけて土を確認すると、通路の土まで黒く豊かでふかふかになっているのです。しかも、もみ殻のあいだから生えてきた雑草を抜くと、その根についてくる土がとても良い土。畝の上の草マルチと、通路のもみ殻+年末にスコップで空気を入れるひと手間。この2つで「畑全体を裸にしない・呼吸させる」のが、わが家のやり方です。もみ殻の効果や使い方は、専用の記事にまとめています。

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季節別・土づくりの年間ロードマップ

自然農の土づくりは、年間を通じて少しずつ進みます。季節ごとに「今やっておくといいこと」を一覧にしました。どれも重労働ではなく、週末に少し手を動かす程度のものばかりです。

季節土づくりでやること
春(3〜5月)冬に育てた緑肥や冬草を刈って敷く。夏野菜の畝に草マルチを準備する
夏(6〜8月)伸びた草を刈ってこまめに草マルチを補給。土を乾かさず、生き物を守る
秋(9〜11月)夏野菜の残渣を畝に還す。秋まきの緑肥をまく。落ち葉を集めて活用
冬(12〜2月)冬草を抜かずに残して保温。通路にスコップを差して軽く空気を入れる。米ぬかを薄くまいて春までじっくり分解

とくに冬は「何もできない時期」と思われがちですが、自然農では逆です。気温が低く微生物がおだやかに働く冬は、土がじっくり栄養を蓄える大切な季節。わが家では、料理で出た野菜くずや枯れ葉を野菜のないスペースに撒き、米ぬかを使ってゆっくり腐葉土にしていきます。冬の土づくりだけを掘り下げた記事もあります。

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1年目〜4年目(〜5年目)の土の変化|痩せた土はこう立ち上がる【通史・後編】

ここが、この記事でいちばん知っておいてほしいところです。自然農の土づくりは「時間がかかる」のが現実。これを知らずに始めて、1年目の結果に落ち込んでやめてしまう人が本当に多いのです。逆に、この時間軸を最初に頭に入れておけば、慌てずに続けられます。あくまでわが家での実感ですが、年ごとの移り変わりをまとめます。

時期土の状態と起きたこと
1年目(始めたて)草マルチで土に直接雨が当たらなくなり、「敷くだけですぐ硬くなる」が和らいだ。ただし草が足りず、まだガチガチに戻る場面もあった
半年〜草マルチが十分な量に達したころ、畝の表層が大きく変わったのがはっきりわかった。前後で残渣・米ぬか・緑肥・通路のもみ殻も一通り導入
2〜3年目土が明らかに良くなる手応え。徐々に黒くなり、生き物が住みつき始める。最初はアブラムシ・カメムシが多かったが、テントウムシ・クモ・ハチ・カマキリなどの益虫が増えてくる
4〜5年目土がホロホロになり、団粒化が進む。シャベルが全部入る。一掘りでミミズが2〜4匹。森の匂いがする

時系列で振り返ると、1〜2年で4本柱が一通り出そろい、効果は年単位でじわじわ——というのが正直なところです。とくに印象的だったのは、害虫が多かった畝が、土が育つにつれて益虫の多い畝に変わっていったこと。土が変わると、畝の環境そのものが変わっていくのを目の当たりにしました。

正直、1年目は「これ、本当に育つのか?」と何度も不安になりました。野菜は小さいし、雑草には負けるし。でも草マルチが十分たまった半年あたりで表層が変わり、2〜3年目に土が黒くなって生き物が増えて、4〜5年目に「こんなにも変わるのか」と驚いたんです。すぐに結果が出ないからこそ、最初に「数年はかかる」と知っておくのが、続けるいちばんのコツだと思います。

「1年目から少しでも収穫したい」という方は、最初に畝を一度だけしっかり立てて、土の下の硬い層をほぐしておく方法もあります。畝立ては最初の一度きりで十分です。

自然農の土づくりでやってはいけない3つのこと

最後に、土の力を損なってしまう「やってはいけないこと」を3つ。どれも、わたし自身がやらかした(あるいはヒヤッとした)実体験から選びました。

やってはいけない3つ
  • 中古培養土と真砂土を「混ぜる」——かえって固まる
  • 不耕起なのに耕運機を買う——団粒と微生物の住処を壊す
  • 畝の周りに「仕切り(物)」を置く——ナメクジを呼ぶ

NG|中古培養土と真砂土を「混ぜる」

真砂土を少しでも良くしようと、譲り受けた粘土質の培養土を真砂土と混ぜたことがあります。これが大失敗でした。相性が悪かったのか、混ぜるとかえって固まってしまったのです。そこでたどり着いたのが、「混ぜず、上に積む」発想。仕切りのないレイズドベッドにしたのは、この失敗があったからです。性質の違う土は、無理に混ぜないほうがいい——というのがわが家の教訓です。

NG|不耕起なのに耕運機を買う

お恥ずかしい話ですが、自然農(不耕起)に切り替えると決めたのに、電動の耕運機を買ってしまいました。結果は——ほとんど使っていません。完全な無駄遣いです。一度できた団粒構造と微生物の住処は、耕すと壊れてしまうとされています。せっかく育ち始めた土をふりだしに戻さないために、道具を買う前に「本当に耕す必要があるか」を一度立ち止まって考えてみてください。

NG|畝の周りに「仕切り(物)」を置く

匍匐性(ほふくせい)のスズメノカタビラという雑草が畝に入り込むのを防ごうと、知人から譲り受けた角材で畝の周りに枠(仕切り)を作ったことがあります。侵入はたしかに減ったかもしれません。でも、それ以上のデメリットがありました——角材の下に、大量のナメクジが湧いたのです。雨が降るとそのナメクジが野菜を食害し、さらに散布していたストチュー水の焼酎(アルコール)が、よけいにナメクジを呼び寄せてしまいました。畝の周りに「物」を置くのは避けたほうがいい、というのが結論です。

では、匍匐性の雑草が畝に入るのをどう防ぐか。わが家がやっているのは、畝の周りにしっかり緑肥を植えること。さらに、畝の周りに溝を切って、そこに木炭やもみ殻を入れる方法も加えています。雑草が根を張れないので、匍匐性の雑草が入り込みにくくなります。

ただし、正直に2つ補足させてください。ひとつは、物を置かないからといって、ナメクジが完全に防げるわけではないこと。マルチをしている以上、マルチの下にもナメクジは住んでいて、雨や夜間の食害は今もあります。「物を置かない=確実に防げる」ではない、と思っておいてください。もうひとつ、結局スズメノカタビラは畝に入りました。最初は気になって除去しましたが取りきれず——それでも、翌年か翌々年にはいなくなりました。スズメノカタビラは一年草なので、畝に入っても、あまり気にしすぎなくていいというのが今の実感です。

なお、同じ場所で同じ科の野菜を作り続けることのリスク(連作障害)も、土づくりと深く関わるテーマです。

さいごに|土は「育てる」のではなく「育つのを見守る」もの

自然農の土づくりを一枚の地図にすると、こうなります。

自然農の土づくり——一枚の地図

  • まず畝の土台をつくり、草マルチで土を裸にしない
  • 残渣を還し、米ぬか・微生物資材でそっと分解を後押しする
  • 緑肥で材料を補い、根に土を耕してもらう
  • 通路ももみ殻と、年末にスコップで空気を入れて呼吸させる
  • あとは耕さず、肥料に頼りすぎず、時間をかけて土の力を信じて待つ

やることはシンプルで、しかも年々ラクになっていきます。そして繰り返しになりますが、「肥料が不要になる」のではなく、これらすべてが合わさって、結果として肥料を買わずに育っている——その正直なところを、忘れないでいただけたらと思います。

まずは小さな一畝からで大丈夫です。草を刈って敷いて、土を裸にしないことから始めてみてください。1年目は信じて、半年から数年かけて変化を感じて、4〜5年目に「あ、本当だ」と腑に落ちる。そんな土との付き合いが、週末の畑を「となりのトトロ」のような場所に変えていきます。

失敗しても大丈夫です。来年また種をまけばいい——それがずぼら菜園の気楽さです。

この記事が、みなさんの土づくりのヒントになれば嬉しいです。また次回も、自然農法の視点から家庭菜園を楽しむヒントをお届けします。コメント・お気に入り登録もよろしくお願いします。

この記事を書いた人|ダイヤン

無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践(自然農歴6年)。関西の真砂土の庭・約100㎡で、草マルチと不耕起だけで「黒くて森の匂いのする土」を育ててきた経過を記録しています。

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圃場に降りたったリーマン

無肥料・無農薬・不耕起栽培で、自然に寄り添う家庭菜園を実践・研究しています。

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